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July 2011

July 31, 2011

無謀な人たち;想定内の事態を想定できない

今回の大雨でも、渓流釣りや川下りで遭難する者がでている。気象庁が記録的な大雨と、増水に関する警告を出しているさなかに、わざわざ危険な場所に出かける無神経さにはあきれる。

このような遭難以外にも、自分が事故や災害に遭うことは決してないと信じ込んでいるのではないかと思える者は少なくない。これは単に無謀と言うよりも、愚鈍と言うべきなのかもしれ無い。少なくとも、危険を予知するために必要な想像力が欠如していることは間違いがない。

このような想像力が欠如した者が増えたことが、様々な社会問題の背景にある可能性も考えなくてはいけないようだ。丸めた紙筒を通して見るようにものを見、視野外にもものがあることを想像しない、そんなものたちが自分や他人の安全、あるいは危険を顧みないのは当然なのだろう。

July 30, 2011

またも想定外の事態

出戻りの梅雨の豪雨で、新潟県や福島県で大被害がでている。1時間雨量が100mmを超えるなど、想定外の雨量が長時間広範囲で続いているためだ。

そもそも日本の治水対策では、こんな豪雨が広範囲で長時間続くことは想定していない。これもまた想定外の事態だ。

「記録は破られるためにある」というのはよく知られた言葉だが、これはスポーツに限定されない。ありとあらゆる事象に適用できる。だから防災に当たっては、想定外の事態が起こりうることを想定しなければならないのだ。

防災というのは自然現象による災害に対してだけではない。人間が作った全ての事物が原因となる事故についても同じだ。想定外の事故が起こりうることも念頭に置いておかなければならない。

想定外の事態による被害を減らすには常に想像力を働かせ、あり得る危険を発見する努力を行っていなければならない。これは工場や建設の現場ではおなじみのKY(危険予知)そのものだ。

また、想定外の災害が起きることを想定してそれに備えるに当たっては、段階的に対策を立てることも必要だ。頻繁に起こりうることからごく希に起こりうること、さらに起こることはほとんど無いと考えられるが無いとは言えないことまで、それぞれにある程度の被害を容認しながらも、想定外の事態による甚大な被害は避けるという考え方も用いるべきだ。

たとえば、現在ある河川堤防をかさ上げするよりも、後方にもう一つの堤防を作り、ごく希な豪雨で溢流した場合はここで食い止めるやり方もあり得る。これは津波に対する堤防についても採用できるはずだ。同じ様に段階的に対策を準備しておくやり方は、大事故についても適用できる。

July 29, 2011

ニンテンドー3DS値下げ

昨日、「ニンテンドー3DS」の値下げが発表された。これまで¥25,000だった物を¥15,000にするというのだから、実に40%もの値下げで、DSiやDSLLと価格が逆転してしまう。これは、昨年からメディアが宣伝していた3Dブームの終焉を告げるような出来事だ。

これまでも、3D動画は何度となく登場しては消えていった。その多くは、立体視用の眼鏡の煩わしさや、両眼を水平に保たなければいけない、画面に対する角度が制限されるなどと言った制約の窮屈さが原因だったように思う。これは、劇場できちんと座って見る映画は良いとしても、家庭でくつろいだ姿勢で見ることが多いテレビとしては重大な欠陥だ。やはりテレビは、どんな姿勢で見ても正しい像が見られる物でなければならない。

3DSでも、少し傾けて持ったり、横からのぞき込もうとすると像が乱れる欠点は同じだ。これが売り上げが伸びない原因だろう。

今回の値下げで販売数を伸ばし、それによって新タイトルを増やすことによってさらに販売台数を増やす。それが狙いだろうが、果たしてうまく行くのかどうか。

シーズ先行商品開発の代表例のような3Dブーム。劇場用映画はともかく、テレビやゲーム機は今回もこのまま消えそうな気がするのだが・・・・。

永田町に動き?

相変わらず、永田町の「政治家先生」たちの動きはいらいらするほど鈍い。八月初めに民主党代表選挙を行うと言う情報も流れてはいるが、メディアの取り扱いは小さく目立たない。半信半疑というところなのだろうか。

いずれにしても、私が感じているのは政権の押し付け合いだ。はじめは熱心に支持しても、何かあればすぐに避難の大合唱に加わる信頼できないものばかり。これでは敢えて火中の栗を拾おうという者が出てこないのも当然かもしれ無い。自分自身がそのような情けない人物だから、そもそも自ら起つ勇気がないのだ。

ある新聞社の記事に日本には国の方針がないと書かれていたが、そもそも国より党、党より自分で、自分の利益を最優先するものばかりだからだという現状では当然だ。

私の父も高級官僚だったが、高校時代、大学時代と、学生寮の部屋に何人もが集まって徹夜で天下国家を論じていたそうだ。そしてそのような気概を持った者たちが官僚や政治家を目指したという。また、官僚の中にも与党の政治家と激しく議論を戦わせたものも少なくなかったそうだ。そして大物政治家の中にもそのような議論を根に持たず、むしろ楽しんでいたものが何人もいたらしい。

しかし、今の政界、官界にそのようなものたちがいるようには見えない。議論を嫌い、反論されれば根に持つ政治家と、議論して根に持たれることを恐れる官僚がほとんどに見える。

蛇足;
そう言えば、父からおもしろい話を聞いたことがある。先代の鳩山(威一郎)氏の学生寮入寮に当たって、母親が特別扱いを要求して拒絶されたという話だ。女性陣がいろいろ出しゃばるのは鳩山家の伝統らしい。

July 28, 2011

高分解能光学天体望遠鏡(合成開口光学望遠鏡)

太陽系外の惑星探しが盛り上がっている。

このような惑星探しは様々な手段で行われているが、合成開口光学望遠鏡はどうだろう。合成開口技術は、レーダーや電波望遠鏡ではすでに利用されている。

同じ様な考え方で、中型の天体望遠鏡を複数まとめて配置する(たとえば、直径1、000mの円周上に6基)ことで分解能を上げれば、比較的近い距離にある惑星系を調べるのに役立つのではないだろうか。最近のデジタル画像処理技術を活用すれば、可能ではないかと思うのだがどうだろう。

追記(2011/09/05);
複数の光学望遠鏡を干渉計として使うことは、欧州南天天文台のVLTとハワイのケック望遠鏡やすばる望遠鏡などを利用してすでに行われているが、直接に2次元画像を得ようという試みは今のところ無いようだ。

追記(2011/06/26);
現在建設中の超大型天体望遠鏡(TMT)は30mの口径を持つそうだ。これを含めてマウナケアにある大型望遠鏡を組み合わせて使えれば面白いかもしれない。もちろんチリにある大型望遠鏡も動員できるとさらに効果があるだろう。

風力発電

茶に関するテレビ番組を見ていて、ふと気がついた。

それは、茶畑のほとんどに霜よけの送風機があると言うことだ。茶摘みの季節の情景なので、送風機は使われておらず風で空転していた。そこで思いついたことが一つ。

モーターと発電機とは基本的な構造が同じだ。と言うことは、効率の善し悪しは別にして、送風機は風力発電機にもなり得ると言うことだ。霜の恐れがないときは発電に使い、気温が下がれば送風機として使えばよい。両方に効率が上がるよう工夫すれば、それなりのメリットはあるのではないだろうか。

閑話休題;地口

永田町は政権の押し付け合いばかりでちっとも前進しない。皆、復興が軌道に乗り始めるのを待っていて、非難を浴びるばかりなことが確実な今はまだ政権につきたくないのだろう。退陣の形を整えてやれば、政権の座はすぐにでも空くと思うのだが。

******************

そんなこんなで閑話休題とし、今日は地口の思い出書き。

子供の頃仲間と遊ぶときにはいろいろな言葉遊びもした。地口もその一つだ。それも、その場の思いつきで後ろに次々と言葉をつなげて遊ぶことが多かった。

たとえば、よく知られた「驚き桃の木山椒の木」も、「ブリキに狸に蓄音機」と続け、さらによく知られている「魂消た駒下駄日和下駄」を付け足したりした。続ける順序は必ずしも一定ではなかったが。また、付け足し部分は回りの仲間が合唱で囃すように言ったりもした。

他にも、
「ざまあ味噌漬けたくあんボリボリ」や「ざまあ三越高島屋」。これはこの後に有名デパートの名をさらに続けたりした。たとえば、「松屋白木屋松坂屋」など適当に口調で付け足した。

これの変形が「ざまあミソラシドレミファソ」。この後ろにも適当に何かつなげることが多かったが具体例は忘れた。

「飛んでも八分歩いて十分」。これもこの後に「這って行っても三十分」、あるいは「滑って転んで一等賞」などを続けた。

少しタイプが異なるのが、全く無意味な「太田土管(道灌)が破裂して、ごろごろ転がる坂の下」。これは他の地口の後ろに付け加える形が多く、この後ろにさらに何かを続けることもあった。

このほかにもいろいろあったはずだが、さすがに忘れてしまった。おいおい思い出してみよう。

そうそう、私は東京西郊で育ったので、上記の例は昭和30年代の東京のものだ。地方によって言葉が異なり、言葉が異なればリズム(口調)も異なる。だから、日本の各地には様々に異なる地口があるだろう。皆さんも子供の頃を思い出して、書き出してみてはいかが?

July 26, 2011

埋蔵電力

埋蔵電力が話題になっているが、埋蔵電力そのものをどう考えるかがバラバラのようだ。実際に利用可能な電力として未利用電力にはどのようなものがあるのか、その認識が異なっていてはそもそも議論にならない。

埋蔵電力としてもっとも良く引き合いに出される自家発電装置だが、これは過大な期待をかけるべきではないだろう。

その理由の一つは、廃熱回収を目的として設置されている大出力の自家発電装置の電力はすでにほぼ全量が内部消費されているはずだからだ。従って、これらは埋蔵電力にはならない。

これに対しその他の自家発電装置の多くは外部からの電力供給が止まった際の緊急用で、生産設備などの安全停止に必要な時間以上の連続運転は想定していない。このため、動力は短時間で始動できるジーゼルエンジンが多く、燃料タンクの容量も小さい。だから、常時利用するためには燃料タンクの大型化、冷却系統の強化、騒音対策などの改修が必要になるだろう。また、燃料タンクの増設は消防法の保安基準達成のため、周辺設備や建築物の移動などに新たな敷地が必要になるので簡単にはできない。

それやこれやで、民間企業が保有する自家発電装置を継続利用可能な埋蔵電力として利用するためには、かなりの投資と工事期間が必要になる。従って、燃料供給体制をどう整備し、運転割り当て計画をどのようにすれば何年後にどの程度の稼働率を期待出来るのか、この見積もりが重要な鍵になる。また、自家発電装置を点検や補修のために休止させる際のルールも必要になるだろう。

と言うわけで、現時点で埋蔵電力として継続利用できる自家発電能力は、単純に保有設備の発電能力を積み上げただけのものよりはるかに少ないはずだ。安易な期待はしない方が良い。

July 25, 2011

「日本ではあり得ない」はあり得ない

海外で大事故や大災害による被害が生きる度、日本の専門家たちは口をそろえて「日本ではあり得ない」と言ってきた。今回の中国高速鉄道の事故でも同じだ。

しかし、過去において専門家が「日本ではあり得ない」と言ったことが何度も起きている。

たとえば、オークランド震災で高速道路が倒壊したとき、日本の土木建築専門家たちは「耐震基準がしっかりしているので日本ではあり得ない」と口をそろえた。しかし阪神淡路大震災で、高速道路の倒壊は起きた。今回の原発事故も同じだ。

あり得ない事故や事件と言うものはあり得ない。全ての専門家はそのことを肝に銘じておかなくてはならない。他国での事故や災害は全て他山の石として詳細に調べ、日本における防止策に見落としがないかを何度でもくりかえしてチェックしなければならない。

危険を予知し、事故や災害を回避するためには常にそれを行うべきだ。危険予知活動(KY)は、工場や建設現場の作業員のためだけのものではない。専門家も、政治家も、庶民も全てが日常的に行うべきことなのだ。

July 24, 2011

見られなかった世紀のイベント

アナログ放送の終了を見ようと思っていたが、残念ながら見ることが出来なかった。

理由は我が家のテレビがCATVに接続されていたからだ。契約しているわけではないが、自宅のマンションには以前からCATVが入っていて、一般放送はパススルーになっていたためだ。

それを忘れていてテレビのチャンネルをアナログチャンネルに合わせると、画面には「デジタルアナログ変換」と「****年までご利用になれます」の文字が・・・。

そして12時になっても放送は何事もなく継続。

結局、世紀のイベントを見損なってしまいました。残念!

このようなことは、日本では次の世紀まで無いだろうに・・・・・。

July 23, 2011

今年は冷夏?

台風6号の接近以来、神戸では涼しい日が続いている。今日も30℃に達しなかった。台風が北風を引き込んだからだろうか?

天気図を見ると、さんざん迷走した台風6号はまだ東海上をゆっくりと北上している。あと数日で長命台風のベストテン入りするかもしれない。

台風6号がこれほど迷走して長命なのは、太平洋高気圧が弱まって北東太平洋に中心を移しているためだろう。南海上の水温はやや低め。エルニーニョが発生し始めているのだろうか。

冷夏で、北日本に冷害が出なければよいがと思う。

追記(2011/07/29);
この数日もまた、薄曇りで最高気温は30℃前後。湿度は高いが風があるので、風通しの良いところにいればしのぎやすい。

天気図を見ると梅雨末期の様な状態になっていて、梅雨が戻ったような状態だ。本州の南にある高気圧も小さく、前線を押し上げる力がない。台風8号もまだ南シナ海でぐずぐずしているようだし、今年は赤道付近の東風が弱いのかもしれ無い。だとすれば太平洋高気圧の勢力が弱いのも分かる。また、エルニーニョの兆しが見えるのも。

猛暑と冷夏、旱魃と洪水

ここ数日、日本では涼しい日が続いているが米国の中西部から東海岸にかけては猛暑になっているらしい。BSのABCニュースでは”Deadly Heat”(「死ぬほどの暑さ」かな)というヘッドラインになっていた。また、東アフリカでは大干ばつというニュースもあった。

全体としての帳尻は合うはずだから、どこかが猛暑になればどこかが冷夏になる。またどこかが大干ばつになればどこかで大洪水になるのだろう。世界中で天候の振れ幅が大きくなっているように感ずるのは、ニュースが伝わりやすくなったためだけではないだろう。気象の変動パターンが変わり始めているようで薄気味が悪い。

原発事故で世界中の二酸化炭素削減が吹き飛んだ形になっているが、火力発電の増設などで放出量を増やすことにも慎重になるべきだと考える。生物の種単位で見れば、放射能よりも気候変動の方が影響が大きいのだから。

July 22, 2011

北欧ロック

NHKBS2の「アメージング・ヴォイス」で、スエーデンのヘビーメタルを紹介していた。私はABBA以外の北欧ロックは全く知らなかったので、米国のロックとの違いに驚いた。

全体の印象で最大の特徴は、米国のロックに較べ端正なことだ。どっしりとしたドラムのビートの上に控えめにギターが歌い、さらにその上に印象的な短いフレーズのヴォーカルが重なる。これでもかというように激しいドラムと音量のギターで圧しまくる米国のハードロックとは全く異なるのだ。

また、歌手の声量と音域の広さにも驚かされる。オペラ歌手との掛け持ちも少なくないとのことだが、こんな声量で長時間歌い続けることが出来るのも、しっかりとした基礎教育とヴォイストレーニングを積んできているからだろう。

これからは北欧のロックにも関心を持つことにしよう。

July 21, 2011

台風迷走

夏台風には迷走するものがあるというのは常識だが、今回の台風6号の進路は珍しい。南から来て本州付近でUターンし、どんどん南へと向かっている。

気象庁は東への進路変更を予想しているが、素人にはさらに南へ進んで再発達するのではないかと思わせるほどだ。再発達して再び日本に向かうなどと言うことは無いと思うが・・・・。

アブラゼミの初鳴き

クマゼミに遅れること一週間になるが、やっとアブラゼミの声を聞いた。
例年、クマゼミより後になるので、今年が特別というわけでもない。午前中はクマゼミに圧倒されて鳴いていても聞こえない。神戸ではクマゼミが静まった午後の主役だ。

神戸ではミンミンゼミは山にしかいない。住宅地から山に入るととたんにクマゼミが全くいなくなり、ミンミンゼミの天下になる。樹種や地面の固さ、水分などの好みが違うためらしい。

ツクツクボウシやヒグラシが鳴き出すと夏も後半。さて、それまでの夏はどのような暑さになるのだろうか。

追記(2011/07/21);
と書いたら、夕方に山の方からヒグラシの声が聞こえた。通常、は暑い間は山中にいて、朝夕が涼しくなり始めると下りてくるのだが。

ここ数日、台風の影響で気温が上がらないせいでまだ避暑に出かけていないのかな?

July 19, 2011

想定外を想定すると・・・

大型の台風6号がのろのろと接近している。すでに過去に例がない大雨が降っているところもあるようだ。記録は破られるためにあると言ったのは誰だった忘れたが、どんな記録もいつかは更新される可能性がある。言い換えると前例がないことはいつでも起こりうると言うことだ。

そこでふと頭に浮かんだことが一つ。こんな大きな台風のさなかに、先日のような大津波が起きたらどうすればよいのか?

各自治体も政府も、平常の天候の元での避難しか想定していないだろう。しかし、どんなことでも原理的に起こりえないこと以外は起こりうる。理論物理学で言う「禁止されていないことは強制される」と同じだ。暴風のさなか、強風や増水の中で、子供や高齢者を連れてどう避難すればよいのか、これも考えておく必要はある。

July 18, 2011

脱原発への鍵

私の立場は原子力発電容認だ。

その理由は原子力発電の電力が、現代文明の利便性を支える上で不可欠であり、現代文明を支えるための必要悪だと考えているからだ。また、現代生活を維持しながら急激に原子力発電を廃止するのは、実際問題として不可能だ。なぜならば、利便性だけでなく、雇用もまた原子力発電の電力に支えられているからだ。

現実の問題として、原子力発電の電力を完全に補完しようとすれば様々な問題が生ずる。

たとえば、どのような自然エネルギー(反原子力派は「再生可能エネルギー」の方がお好きなようだが)であろうとも、それを大規模に利用しようとすればその施設の建設そのものが環境を破壊する。従って、高密度・大量の利用は避けなければならない。また、建設地の選定や環境に対する評価だけでも5年や10年はすぐにかかってしまう。その間のエネルギー調達をどうすればよいのだろう。

また、メディアでは埋蔵電力として、大企業が持つ自家発電装置を上げる向きもある。しかし、自家発電装置はごく一部を除けば停電対策用で長時間連続の運転を想定した設備になっていない。その大部分は、数時間から丸一日程度しか連続運転が出来ないのだ。埋蔵電力を主張する人たちは、単純に公称能力を積み上げるだけで、連続的に得られる電力としてどれくらいあるのかは見積もっていない様に見える。

また、エコ燃料にしても、コメ以外の食料自製化とどう折り合いをつけるのか、これが考慮されていない。これについては食糧政策、農業政策との調整が必要なのだ。

さらに、自然エネルギー利用についてはエネルギー貯蔵の問題を避けて通るわけにはいかない。一部にはスマートグリッドなどの技術革新で安定した供給が可能だという主張もある。しかしそれには同意できない。北ヨーロッパ諸国のように、安定した西からの海風が期待でき、なおかつ近隣諸国から電力を輸入できる国とは異なり、日本では風が安定しないし、梅雨の時期には日照が全国的に減少する。これらをカバーするには大規模なエネルギー貯蔵が不可欠だ。それも、数分、数時間と言ったものではなく、数日単位の期間を想定する必要がある。

このようなことは、現実に発生するであろう問題の一部に過ぎないと予想される。だから、脱原発は発生する問題を見極めてそれに対する対策を高じながら進めなければならない。それには否応なく時間がかかる。それが現実なのだ。

原子力に変わる高密度エネルギー製造方法としては、核融合が考えられる。核融合は確かに核爆発の可能性は少ない。核分裂物質は使用しないので少量ではあるが、放射線によって生成する放射性物質はある。その処分はやはり考えなければならない。また、現時点では実用化までの所要期間の見通しは全くついていない。

それやこれやで、現在の文明生活を維持しながら脱原発を達成するには時間がかかる。実際には、50年以上をかける必要があるだろう。もしかすると今世紀中には終わらないかもしれない。地球の自然環境を守りながら原子力利用を廃止するには、それを踏まえた上で手順良く進めることが可能な計画を立てねばならない。

それが国民と政治家の義務なのだ。

最後に、放射能汚染は人間にとっては有害だが、野生にとっては必ずしもそうではない。人間がいなくなったことで野生の天国となった、チェルノブイリ周辺の無人化地域の現状がそれをよく示している。自然環境にとってもっとも有害なのは、人間が存在することなのだ。

July 16, 2011

巨大台風接近中

巨大台風に成長した台風6号が接近している。強風圏の直径が1600kmに達し、気圧も940hPaと言う化け物のような台風だ(注)。

数日中には本土南岸に接近してくるらしいが、震災の被災地に大きな被害を及ぼさないことを祈りたい。

注;最大風速が50mと言うことだが、ハリケーンの等級で言えば3から4にかけてと言うことになる。本土南岸海上を通るにしても、豪雨や高潮による被害が心配だ。

July 15, 2011

気温差26℃

今日の神戸は風が心地よい。気温は32℃まで上がったが湿度が30%近くまで下がったためだ。

台風の進路が気になるので気象庁のサイトを覗いたついでに、各地の14時の気温をチェックしてみた。すると最高は群馬県伊勢崎市の37.7℃、最低は北海道釧路近くの知方学(チッポマナイ)の11.0℃で、なんと26℃以上もの差があった。

11℃は、神戸で言えば冬の暖かい日の日中気温に相当する。気候の差で見ると、日本も広いものだ。

太陽電池設置の適地

太陽発電が注目されているが、大面積に太陽電池パネルを敷き並べるのはそれ自体が環境破壊になり得る。そこで、どのような場所に太陽電池を設置すればよいのかを工夫しなければならない。

これに関して、朝日ウエブにおもしろい記事が出ている。それは、ベルギー・オランダ間の高速鉄道の軌道に、太陽電池の屋根をかけたという記事だ。景観上、多少の難点はあるかもしれないが、すでに存在する建造物の上を利用するのは環境への悪影響を避ける良いアイディアだ。

これと同じ考えを日本で採用するとすれば、さしずめ高速道路や新幹線の遮音壁や遮音覆いが利用できそうだ。特に都市内や周辺に設置されている遮音壁は相当な面積になるだろう。無用に明るく、速度違反を誘発する原因にもなっている(と私は考えている【注】)過剰な道路照明の削減と合わせれば、利用できる電力は少なくないと考える。

【注】自車の前照灯を点灯しなくても走行に支障がないほど明るいので、点灯せずに高速で走る車がしばしば見られる。これをやられると、後方からの接近に気づくのが遅れてひやりとすることがある。

July 14, 2011

手のひらを返すように

震災後、いくつもの課題について手のひらを返すようにメディアの論調が変わった。

その一つが、地球温暖化対策。これは震災後全く取り上げられなくなったし、温暖化防止策の放棄といえる主張も目立つ。それでよいのだろうか?暴論を言わせてもらえば、放射能漏れ事故でも野生は滅びない。これはチェルノブイリ周辺地域の現状を見れば明らかだ。それに対し、温暖化では広範囲の野生が滅びる可能性がある。原子炉リスクばかり見て温暖化防止を放棄するは、人間のエゴかもしれない。だから、一部にある火電の大増設などのような主張には賛成できない。

二つ目は、高速道路など公共事業に対する態度。震災までは効率重視の大合唱だったが、被災地を中心に復興工事以外の公共事業も行えとの大合唱になりつつある。これも部分的には賛同する。道路や鉄道その他のインフラ整備は、公共のセキュリティの確保という面もあるからだ。しかし、財政を無視してもと言う主張には同意できない。

三つ目は増税論議。これも反対一色だったのが、増税せよの合唱になり始めた。より正しく言えば、増税も国債もだが、被災地復興を早くという声に媚びを売っている感じがある。国債は所詮は次世代へのつけ回しだ。財政評論家たちの主張も、数十年先の状況まで見据えたものには見えない。だから将来を考えると危うさを感じる。

とかくメディアの主張は目先ばかり見ている傾向がある。世論をリードしようとする責任あるメディアには、短期も長期もしっかり見通した多面的な分析と議論が必要だ。

クマゼミの初鳴き(2011)

今日も晴れ上がって暑くなりそうだ。ただ、六甲山麓の神戸市街地では南風が心地よく吹いている。南北を開け放てば屋内も吹き抜けてくれるので、暑さがしのぎやすい。

去年より少し遅れたが、先ほどクマゼミの声を聞いた。妻は昨日聞いたと言っていたが、私には今年の初鳴きだ。いよいよ朝寝が出来なくなる。

耳の夏も本番だ。

追記(2011/08/01);
公園の木が5年毎の刈り込みで小さくなったせいか、クマゼミの数はやや少なめ。だが、毎朝6時過ぎから大合唱が始まるので起こされてしまう。また、ベランダではまともな会話はできない。

少ないとはいうものの、低い枝先には抜け殻が無数に。抜け殻の上にもまた抜け殻が重なっている。

地面はこのように、幼虫が出てきた穴だらけ。

このように、踏み固められた地面でも、孵化したばかりの幼虫が潜り込めるのはクマゼミだけだとか。都会でクマゼミが増えたのはこのためだと言う説があります。

木の幹に止まっているクマゼミ。

数年前の大発生時には、ひと目100匹近くでしたが、今年はひと目10~20匹程度で、例年より若干少なめと言ったところ。

女子サッカーは格闘技

日本チームの快進撃が注目を集めているが、外国チーム同士の試合も含めて見ていて驚いたことがある。

それは、ボールを奪い合う際の当たりの激しさだ。男子が激突を避けるためスピードを緩める様な状況でも当然の様に突っ込んでゆく。まさに格闘技だ。特に男子はファールをもらおうと、接触後に大げさに転がったり痛がったりするのに対し、女子は平然と立ち上がってプレーを続けることが多い。

瞬間的な加速などでは男子に見劣りする点はある。しかし生真面目で粘り強いプレーぶりでは男子を凌ぐ魅力も多い。女子サッカー恐るべし。

肥満対策税

読売オンラインなどが、ハンガリーが肥満につながる高カロリー飲料やポテトチップスなどに税金をかけることにしたと報じている(記事「ハンガリー、ポテトチップスなどに税金」)。記事によればデンマークに次いで2例目ではないかとのこと。

政府側は国民の健康増進のためとしているが、財政改善の目的ではないかとの批判もあるという。

これを米国でやると暴動が起きそうだが、この税収を健康保険組合や国民健康保険に加入者数に応じて分配すれば、医療費削減と健康保険財政の改善の両方に役立つだろう。もっとも、「貧しい子からお菓子を取り上げるのか?」という善人ぶった批判も当然出てくるが。

July 11, 2011

首相になりたくない症候群

毎日新聞社の世良論説委員が、「政界には旧社会党病が蔓延している」と書いている(記事)。旧社会党のように、批判だけしていればよい立場に安住している者ばかりだと言うわけだ。

私はこれを「首相になりたくない症候群」と呼んでいる。これから被災者からの不満や批判が本格化するこの時期に、批判にさらされる立場である首相にはなりたくない、言い換えれば批判することでいい子にはなりたいが、批判はされたくないということだ。だから、「菅降ろし」を声高に言い立てるものの「後は私が引き継ぐ」という者は出てこない。

別の言い方をすれば、「菅降ろし」は口先だけで、本気で菅氏の次を考えている者がいないということだ。

以前の記事「立ち往生の菅降ろし」で書いたように、起つ者無く、推す者も推される者もいない、受け皿無しで立ち往生している「菅降ろし」。その原因は誰も本気で菅氏を降ろそうとはしていないからだ。不満や批判が集中する時期は菅氏に任せておいて批判を避け、復興に目処がつき批判が少なくなってから首相になり、成果を自分の手柄にしたいのだ。だから次期首相について水を向けられると皆逃げ腰になる。また各党とも、現時点で政権運営にかかわることを避け、参加しないための口実を並べたてている。

それが見え透いているので、「菅降ろし」は盛り上がらず、時期首相候補として支持を集められる者もいない。

菅氏が降りても、次の首相が決まらなければ、結局は菅内閣が事務処理を続けなければならない。しかしその状態では、立法が絡む案件は何一つ出来ない。誰かが起たない限り菅氏が降りることは不可能だ。

「菅降ろし」を進めるには、まず次期首相候補を決めなければならない。しかし、「敢えて火中の栗を拾う」侠気のある者は、永田町にはいないようだ。福田氏の前例を見ているだけに、恐らく誰も起とうとはしないだろう。

故に、菅政権は当分続くだろうし、任期満了もあるかもしれない。菅政権が成果を上げれば、引き継いでもあまり批判にさらされなくなる時期が早まるが、菅氏を非難する根拠が少なくなる。逆に、政権運営を妨害して成果が上がらなければ、引き継いでも良い時期が遅くなる。また、露骨な妨害は被災地からの反発を買う。これは「菅降ろし派」にとって大いなるジレンマだ。

関連記事;「受け皿が作れない;立ち往生の菅降ろし」

July 10, 2011

LED電球、値崩れ始まる?

例によって、多数のメーカーがなだれ込んだため、LED電球の値崩れが始まった様に見える。どこかが先鞭をつけて話題になると同業他社が一斉に参入し、それに安売りメーカーが続き値崩れが始まる。そのため、販売数量が増えても採算がとれない。これがいつものパターンで、薄型テレビもそれが当てはまる。

LED電球の安価品は、しばらく前からホームセンターなどで売られていたが、最近は家電量販店にも顔を見せ始めている。そろそろ値崩れが始まるのではないかというのはそれが理由だ。

BDは、著作権保護機能に関するライセンスなどの縛りで実質的なカルテルを作ることで安価品メーカーの参入を排除しているようだが、これもそう長くは続けられないだろう。

梅雨明け

梅雨明けが発表されて3日目。空気の透明度が上がり、神戸の我が家からは大阪湾越しに、生駒山地から紀淡海峡まで見渡せるようになった。湿度も少し下がって、南風が心地よい。

まだクマゼミは鳴き出さないが、数日中に賑やかになるだろう。また、朝寝が出来なくなる。

ふと気がつくと、神戸港の係留地に大型クレーン船が一隻戻ってきている。震災直後から全て出はらっていたが、一区切りついたので戻ってきたのかもしれない。お疲れ様。

July 09, 2011

立ち往生の菅降ろし

「菅降ろし」の声は相変わらず賑やかだが、おろす側が立ち往生している。

「菅降りろ」と言いはするが、次期首相として起つ者無く、推す者も推される者もいない異常な状態。

あるTV局の世論調査では次期候補として名をあげられた者に二桁の支持を得た者がいなかったという。次期首相としてふさわしい者がいなければ、降ろすことも降りることも出来ない。

起つも出来ず、降ろしも出来ないのであれば、せめて積極的で実行可能な政策提言をしてもらいたい。今のように、ただ菅氏に成果を上げさせないことだけに血道を上げているのでは、政治家として失格だ。

逆転無罪

米国で自分の子供を殺してとして起訴されていた女性被告にたいし無罪の判決が出た(日本での別件逮捕に相当する一部の軽罪については有罪)。メディアが有罪と決めつけて世論を煽っていただけに、この判決は米国内に大騒動を起こしているようだ。

陪審員の判断は、状況証拠のみで物証がないので、確実に死刑になる有罪評決は出せないと言うことのようで、日本同様の甘い捜査が原因と言えそうだ。

このように、メディアが煽って世論を誘導するという事例は日本の事件でも多い。過去の冤罪事件でも、メディアが有罪と決めつけて報道した結果と思われる事例は少なくない。メディアは責任がないので、売り上げ優先でかき立てるからだ。

しかし、日本でも裁判員裁判制度の導入によって少し変化し始めているようだ。裁判員が状況証拠のみで物証がないとして無罪とした例も出始めている。特に死刑や無期懲役になる様な重罪については、裁判員の判断が慎重になる傾向が見える。

裁判員裁判で感情に訴えれば有罪にしやすいという、被害者や検察の思惑も見えた被害者参加制度もあるが、これも過剰な煽りは逆に作用しているようだ。裁判員制度によって、日本でもより明確な物証を求める傾向は強まるだろう。警察や検察はより慎重な操作が要求される。

また、メディアが有罪と決めつけて煽り報道を行うと逆に働くこともあり得るということも銘記すべきだろう。より慎重な報道が求められる。

July 08, 2011

そろそろ

大味な打撃と外野手の弱肩で逆転負けをくりかえす巨人。そろそろ例の老人から不平が出てきそうだ。

これまで巨人を勝たせることを至上命令としてくりかえしてきた日本プロ野球のルール変更。国際化の波に抗えず、ボールを変更した結果、機動性と強肩野手を備えたチームの好成績が目立つ。それと対照的に、長距離打者を並べてホームランで勝つチーム作りばかりをしてきた巨人の不振が際立っている。そろそろ老害爺さんからボールが悪いとの不平が出る頃だ。

確かにホームランは野球の醍醐味の一つではあるが、それだけではつまらない。俊足と強肩がもたらすスピード感も重要だ。今年好成績を上げているチームにはそれが見られる。

さらに良いことに、ピッチャーが強気で攻めるようになったことも試合をおもしろくしている。これは副産物として試合時間の短縮ももたらしている。昨年までのピッチャーがやたらに間合いを取り、ぐずぐずと逃げ回っていたことと較べると、試合の緊張感も高まった。

これに対し、昨年までの試合球は芯を外してもホームランになるため、打者は正しく芯でとらえる技術を磨かずに来たように見える。これが打者の打撃技術の低下を招き、今年の投手優位をもたらしているのだろう。ただしこの状態は、打者が芯でとらえる技術を磨けば、かなり変わるだろう。

いずれにしても、腕力だけに頼る長距離バッターはもう通用しなくなった。プロ野球人気の回復のためにも、巨人が根本的にチーム作りを見直すことを進める。

MD生産終了

とうとうMDの生産が終了するそうだ。カセットテープを後継するものと期待されたが、商品としての寿命は短かった。

その最大の原因は著作権保護機能が原因の使い勝手の悪さだろう。コピー防止機能は悪いとは言い切れないが、自分の演奏を録音した場合など、著作権が自分に属する場合でも自由に複製できないのは商品の欠陥としか言いようがなかった。

その結果、十年もたたないうちに登場したICレコーダーの価格が低下するとあっという間に駆逐されてしまった。

登場した当初のICレコーダーは会議などの録音を目的とした物で、容量も音質も音楽鑑賞には向かない物だった。しかしその後、メモリーが安くなり音質も良くなると、その使い勝手の良さが支持された。当初は無かった著作権保護機能も後に追加されたが、自分の演奏やお稽古事のメモ録などでの使い勝手は損なわれなかった。これが、ICレコーダーがカセットレコーダの後継となり得た最大の理由だろう。

その点から言えば、MDは著作権保護ばかりを優先し、ユーザーの利便性を無視した商品企画によって失敗した例といえるだろう。

追記(2011/08/09);
MDは記録自体は20年以上の耐久性があると考えるが、ハブを両面テープで接着しているため、高温多湿環境では保存中にはがれてしまうこともあり得る。早めにCD系の記録メディア等にバックアップしておくことをお勧めする。

KY不足

九州電力の裏工作発覚が話題になっている。

この種の姑息な裏工作や不正が後を絶たないが、その都度感じるのは当事者たちの想像力の欠如だ。その背景には、安易に「自分たちに不都合なことは起こらない」と考える自己中心主義がある。

多少とも想像力があれば、このような工作による利益と、これが露呈する可能性とその場合の損失を見積もることが出来る。これは潜在する危険を見いだし、危険の程度を見積もることが重要な要素である危険予知(KY)と同じだ。

想像力に欠ける者は潜在する危険の予測もできない。それは姑息な工作を行う場合のメリットとリスクを見積もる場合も同じで、これもまたKYの一種と言える。

「想像力の欠如」「KYの欠如」を招き、結果として大きな損害を与えると知るべし。

July 07, 2011

相続税脱税の理由

申告すべき相続資産もない大部分の庶民には縁がない話だが、またまた著名人遺族の相続税脱税が摘発されている。

資産家でもある著名人の多くは、代理人や税理士を利用していたであろうから、彼らによる「節税」指南もあると思われるが、一番の原因は相続人たちの目が相続する資産の金額にではなく、納付しなければならない相続税の金額に眩むからだろう。

資産家の相続人からは、相続三代で資産が無くなると言う不満があるが、そもそも相続税とは相続した資産からの不労所得による特権階級を作らないという目的で考えられているものだ。それがいやなら、懸命に働いて再び資産を増やせば良い。

復興財源は誰が払うのか?

震災復興財源について、増税論と国債増発論が交錯している。現在の不景気下での財源不足は明らかだ。しかしこの論議は突き詰めれば、現在の納税者に払わせるか、将来の納税者に払わせるのかと言うことを意味する。

どちらの世代に負担を求めるのか、この点についてを曖昧にしたままでは将来に禍根を残すかもしれない。今行われている表層的な議論ではなく、将来の負担をも見据えた議論を求めたい。納税者にも、「朝三暮四」にはならない冷徹な目を求めたい。

また、財源論を行うのであれば、いかに景気を回復させて税収を増やすのかと言う面にも目を向けるべきだ。製造業の多くが、震災と電力供給の不安定さを嫌って、生産拠点を海外に移す計画を進めている。これをいかに食い止めるのかという議論も急がねばならない。

July 05, 2011

紫外線は黄色で防ぐ

紫外線を避ける為には白よりも黒が良いと思われている。しかし、黒は全波長の可視光を吸収するので温度が上がりやすい。このため、黒い日傘や衣服では熱くなった生地からの輻射で暑く感じる。

しかし、黒のように暑くならない色もある。それは鮮明な黄色だ。黄色の染料は青紫から紫外線の部分を吸収するが、その他の波長の光はほとんど吸収しない。このため、紫外線遮断能力は黒と変わらず、可視光の吸収が少ない分だけ温度が高くならない。従って、黒よりも涼しく過ごせることになる。

黄色の染料が紫外線をよく吸収することは、染色した生地を反射分光光度計という装置で測定すればすぐに分かる。生地の種類や染色濃度によっては、むしろ黄色の方が紫外線を通さないこともある。

黄色が可視光の大部分を通し、紫外線をよく遮断する性質はスポーツ選手やパイロットが使用するサングラスに用いられることにも現れている。黄色のサングラスは、他の色のようには視野が暗くならないので視認性が保たれるからだ。 また紫外線と反応する樹脂を使う半導体工場では、黄色の板やフイルムで紫外線を遮断している。

参考までに黄色の白黒写真用フィルター(Y2)の透過率特性を下に示す。((株)ケンコー・トキナーのホームページより引用)[2016/07/28追加]

このように、黄色は紫外線から青色光にかけてを吸収して透過しないが、緑や赤の光は吸収しない。

と言うわけで、紫外線を避けるには黄色を使いましょう。もっとも、町中に黄色があふれるのも少々うんざりするが・・・・。

付け加えれば、繊維に染まるほぼ無色の紫外線吸収剤もある。これを使えば、わずかに着色する程度で、紫外線を遮断することが出来る。

補足(波長と色の関係);[2016/07/29追加]
原色は各波長の光が目に感じる色を、補色は白色光からその波長の付近の光を取り除いた場合に残りの光で目に感じる色を表す。教科の美術で学ぶ色相環で、ちょうど反対側にある色がこれに当たる。

波長と色の関係

矢印が重なっている部分は、話の都合で可視光として扱われたり、紫外線または赤外線として扱われたりする。

追記(2011/08/17);
ほぼ無色の紫外線吸収剤の例として蛍光増白剤をあげるのを忘れていた。蛍光増白剤は近紫外線を吸収して青色の蛍光を発するので、繊維の黄ばみを隠して白生地をより白く見せる目的に用いられる。この性質を利用して、洗剤には水溶性の蛍光増白剤が添加されており、一般には蛍光染料とも呼ばれている。

水溶性の蛍光増白剤の多くは光に弱いので、すぐに分解して紫外線を吸収できなくなる(注1)。しかし、ポリエステル繊維やポリカーボネート樹脂の増白に用いられる水不溶性の蛍光増白剤は光に強いので、紫外線遮断の目的にひと夏は十分に使えるだろう。もっとも、十分な遮断効果を上げるほど多く使用すると、淡黄色に着色して見えるだろう(注2)。

追記(2011/08/29);
黒でも紫外線をあまり吸収しない生地がある。それはポリエステル繊維やアクリル繊維だ。この両繊維用の黒色染料は色の異なる数種類の染料を配合して作る。

たとえばポリエステル繊維では紺色の染料にオレンジ色の染料を加えた配合染料を基本にしているし、アクリル繊維では緑色と紫色の染料の配合染料を基本にしている。基本配合に使用される染料は近紫外線領域の吸収能力がごく少ないため、鮮明な黄色の染料に比較すると近紫外線領域の吸収能力はむしろ劣っている。(注4)

これらにくらべると、含金染料やクロム染料などの金属錯塩染料で黒色に染色されたポリアミド系繊維(羊毛、絹を含む)は吸収帯域が広く、近紫外線領域も吸収するため紫外線遮断能力は高くなっている。もちろん黄色の紫外線吸収能力も高い。

追記(2013/08/11);
ポリエステル繊維やアクリル繊維が、黒色でも紫外線をあまり吸収しないという理由がもう一つある。それは染料の染着限度が他の繊維に較べると低いことだ。

特にアクリル繊維は低く、染料純分に換算すると繊維重量の0.5%ほどが限度になる。ポリエステル繊維は、染料純分に換算して繊維重量の5%以上に染色することは可能だが、繊維がゴワゴワになる上に色移りしやすくなるなどの染色堅牢度上の問題が生じるので好ましくない。

注1;分解した蛍光増白剤は次の洗濯で脱落し、洗剤中の増白剤が入れ替わりに染着する。洗濯後の布地が真っ白になるのは蛍光増白剤の効果で、蛍光増白剤を全く含まない洗剤を用いると洗濯後の布地は薄黄色を帯びて真っ白にはならない。逆に綿の生成りの布を蛍光増白剤入りの洗剤で洗濯すると、真っ白になってしまうことがある。

注2;蛍光性の染料には染着量が増えると蛍光が弱くなる性質がある。これは「濃度消光」と呼ばれる。

注3;光の透過率は生地の織り密度や厚みに大きく影響される。タフタやポプリンのような薄い生地は光を通しやすいし、ツイルやサージなどの厚い生地はそれ自体で光を通しにくい。

注4;アクリル繊維用の鮮明黄色染料は近紫外線をあまり吸収しない。これは化学構造上の理由で光を吸収する波長範囲の幅が狭いためだ。

2016/07/26 以下の部分を別記事「紫外線を防ぐ色について」に移動、再編集しました。

追記(2016/09/12);
上記(注4)に書いたように全ての黄色が紫外線を通さないわけでは無い。黄色が紫外線を通さないと言う意味は、鮮明な黄色の染料の多くが近紫外線も吸収するということだ。黄色の染料にも様々な化学構造のものがあり、紫外線吸収特性は染料分子の骨格構造によって大きく異なる。

たとえば、セルローズ繊維用の反応性染料、さらにはポリアミド繊維用の酸性染料に多く用いられているピラゾールアゾ系染料は比較的吸収帯が広く近紫外域も吸収するが、アクリル系繊維に用いられるポリメチン系カチオン染料は吸収帯が狭く近紫外域はほとんど吸収しない。つまり、黄色という性質が紫外線を吸収するわけでは無い。

もう一つ付け加えると、近紫外線を吸収する黄色の染料と他の色の染料を配合して濃く染めた布、たとえば濃緑色(黄+青)や濃橙色(黄+赤)などの布も良く紫外線を吸収する。

知性と品格の問題

またまた品格に欠ける愚者の発言が騒ぎになっているようだ。閣僚、政権中枢につながる委員、知事、市長、さらにはタレントなど、近頃はこの手の者が多く枚挙にいとまがない。

たまたま、メディアで名が知られた、公的な地位を手に入れた、そんなことで自分が偉くなったような気になって高圧的な発言や振る舞いをする。そして非難される。それは当人の知性と品格の低さを暴露するだけなのだが・・・・。

偉そうに振る舞って自分の権勢を誇示したがるのは、小者の証明と知るべし。

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