太陽活動が低調期入り
一年ほど前に「太陽が冬眠する?」という記事を書いたことがあるが、最近太陽活動が低調だという報告(ナショナル・ジオグラフィックの記事など)が増えているようだ。
「太陽が冬眠する」では太陽からのニュートリノ輻射の観測結果に基づく「遅くとも150年後には太陽活動が衰える」という説を紹介した。しかし、太陽からのニュートリノ輻射の観測が可能になったのが1990年代後半からなので、これがいつから始まっていたのか分からないという。太陽の現状から考えると、その150年がすでに経過しているのかもしれない。
太陽黒点増減の11年周期は昔からよく知られているが、黒点の多い時期は温暖で少ない時期には寒冷になると言う関係もよく知られている。その観点から過去の黒点数の記録(理科年表などに掲載されている)を見ると、19世紀末から20世紀末にかけては極大期の黒点数がそれ以前に比べて多い。それに伴って温暖化が進んでいるようにも見える。
ただ考古学的な分析に基づいて、現在の温暖化は19世紀以前の気候変動に較べて急激に進んでいると言う報告も多い。だから単純に太陽活動の活発化が原因だと決めつけることは出来ない。また、太陽活動の低下に伴う寒冷化があるとしても、影響が本格化するのは次の黒点周期以降になるだろう。だから、温暖化の進行が止まると予想するのは早計に過ぎる。とりあえずは、温暖化ガスの放出を押さえて様子を見るべきだろう。増やす方は簡単だから。
また温暖化の原因について、研究者や科学評論家はあまりにも原因を単純化しすぎているように見えるし、地球内にばかり原因を絞りすぎているように感じる。単純化は科学の基本的な手法の一つではあるが、気候変動のような複雑な系に関しては、過剰な単純化は判断を誤る事につながる可能性があることに留意すべきだろう。地球内の現象による影響に限るとしても、航空機なとが高空にばらまいている微粒子の影響、産業活動や砂漠化によるエアロゾルの増加、気象・海洋現象の様々な周期など考慮に入れるべき対象は他にも多数ある。
何かにつけて不都合な情報は無視する世の中だが、自分に都合の良い情報だけを捉えて判断するのは間違いの元だ。今は慎重に推移を見定めなければならない。
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