日本人は生活様式の変更を迫られている
福島第一原子力発電所の事故で始まった関東地方の電力不足。原子力発電所の発電量を補填する手段が無いので、これは長期間続くだろう。さらに、他地区の原子力発電所の見直しや改修が始まれば、他地区にもこれが波及する。
その理由は簡単だ。新しく大規模な発電所を造る目処が立たないからだ。原子力発電所であれ、火力発電所であれ、大規模な発電所を新規に建設するには10年単位の期間が必要だ。そして大規模な水力発電所となればさらに長期間が必要になるし、そもそも適地がほとんど残っていない。さらに、火力発電所は温暖化対策でむしろ減らすことが迫られているし、水力発電所も環境や生態系への影響が大きい。また、他地区からの融通量を増やすにも周波数変換施設の増強が必要であり、これにも3~5年はかかり、他地区での節電も必要になる。
結局、選択肢として残るのは、電力消費量の削減だ。そのためには、生産様式も生活様式もともに電力を消費しない形に変える必要がある。
たとえば、エアコンの使用を前提とした現代の住宅構造は変えるべきである。昭和30年代までの住宅は夏の気候に焦点を合わせて、自然通風を最大限に利用するようデザインされていた。このためエアコンが無くても涼しく過ごせた。もちろん、クーラーに比べれば気温は高いがこれは慣れの問題だ。冬の寒さには1~2枚の重ね着をすればよい。そして何もかも電気で自動化、省力化というのも見直すべきだ。少しでも多くの産業用電力を確保して雇用を維持するためには、一般家庭での消費電力を半減させるぐらいのことが必要だろう。
また、現代の産業も大量の電力消費を必要とする。特に先端産業は、必須のクリーンルームを維持するため製造そのものよりも大量の電力が必要だ。そして工場が休止の期間も、外部からホコリが進入するのを防ぐため運転を続けなければならない。このようなクリーンルームの構造も見直して、電力消費減らす余地があるはずだ。さらに、工場や流通での物品移動も、電力を使わない方法を工夫するべきだ。電力が雇用の頭を抑えるようなことがあってはならない。
さらに、無駄に明るいパチンコ屋などの遊技場の装飾照明やガソリンスタンドの照明、むやみに明るい街路照明や建造物のライトアップなども、強制力を持った形での削減を考えるべきだ。
« 農家救済に休耕地の活用を | Main | 自民党はどこにいる? »
Comments