放射能雨
私が子供の頃、第二次世界大戦戦勝国が競って大気圏内核実験を行い、その都度大量の放射性元素がまき散らされた。そして放射性元素を含むチリが西風に乗って流れてくるので、その都度毎日の上空での測定結果が報道されていた。
そして雨が降ると、その放射性元素を含んだチリが取り込まれて降ってくるので、それを「放射能雨」と読んでいた。広島や長崎で被爆した人たちや第五福竜丸の被爆者の中には頭髪が抜けた人もいたので、我々子供たちは放射能雨に当たると禿げると言い合って大げさに怖がっていた。
その後、大気圏内核実験が自粛されるようになって、放射能雨も人の口に上らないようになった。しかし今回の事故によって、西風以外の日は放射能雨を気にしなければならなくなったようだ。
一日も早く事態が収まり、「放射能」を気にしなくてよい日が来ることを祈る。
追記(2011/03/21);
当時話題になった放射性元素は主にコバルト60、ストロンチウム90、セシウム137など常温で固体の元素(注)だった。今回は炉心そのものが爆発したわけではないのでこれらではなく、揮発性の放射性元素であるヨード131、クリプトン85、キセノン127などが話題になっている。これらは半減期が短いので、天然には少ないので指標として用いられるためだ。
放射性元素としてこのほかに、ウランの代表的核分裂生成物の一つで、温泉でおなじみのラドン(すべての核種が放射性)も出ているはずだが、これは自然に存在する量が多く、地域によるばらつきが多いので指標としては用いない。ついでに言えば、石やコンクリートで造られ気密性が高い西欧の住宅では、これらから発生するラドンによる発癌が問題になったことがある。
注;これらの元素は非破壊検査や化学分析、そして医療での検査や治療にも用いられている。
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