円高とは言うが
「円高=日本経済への悪景況」とメディアは騒ぎ立てるが、本当にそれほどの悪影響があるのだろうか?なぜならば、円が上昇しているのはほとんど米ドル(およびそれに固定されている通貨)に対してだけで、その他の世界の大半の通貨に対してはあまり値上がりしていないからだ。
確かに輸出における米国の比率はいまだに低いとは言えない。しかし米国以外への輸出比率は高まってきているはずだ。実際、財務省の貿易統計によれば、2000年度に総輸出額の約30%を占めていた対米輸出は、2009年度の推計値では約16%に低下している。もちろんこのうちのドル建ての比率がどの程度かにもよるが、決済をドル以外で行っている比率は確実に上昇しているはずだ。従ってドル安の影響は確実に小さくなっている。
また、観光産業への打撃という主張もあるが、これも米国以外からの観光客にとっては影響が小さいはずだ。グアムやハワイに中・韓国人観光客の一部が流れるという影響はあるだろうが。
従って、輸出産業へのドル安の影響はメディアが騒ぐほどには大きくはない。過去に形成された固定概念で振り回されていると言っても良いかもしれない。為替レート自体よりもむしろ、円高を口実にした下請けいじめの影響の方が大きいだろう。
外為レートと株価の動向がばらける兆しを見せているのも、おそらくこのためだろう。切り下げ競争がほぼ限界に来ている状況に直面して、投機筋が従来とは異なる取引パターンに移行し始めている可能性はある。
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