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September 13, 2010

風力発電の停滞

朝日新聞社の記事によれば、新規の風力発電の開発が停滞しているという。原因は発電全量の強制買い上げが進まないからだと言う。いかにも国の怠慢のように見える記事だが、果たしてそうなのだろうか。

この記事とは別に、風力発電の立地が厳しくなってきていると言うこともしばしば報じられている。タービンの羽根による低周波騒音による健康被害、電波障害、渡り鳥の保護などの問題から建設可能な場所が少なくなっているというのだ。環境対策としてこれ以上ないとも言われた風力発電にも、それなりの環境破壊があることが認識され始めたと言っても良い。

そのような理由からヨーロッパでは海上への建設が盛んだが、日本では建設こそとが高いという理由で敬遠されているらしい。また、建設費が浅い海岸が既に埋め立てられて、内海ではあまり残っていない。また、外海に建設すれば台風などの荒天が多い為、ヨーロッパで使用されている物より耐久性の高い物が必要になることも建設費を押し上げているらしい。現実問題として、台風で倒壊したヨーロッパ製風力発電装置がいくつかあると報じられていた。

そこで高値による強制買い上げと言うことになるのだが、これは電力代の高騰を招き製造業のコストや家計費を押し上げることになる。特に家計費については、自宅に太陽電池などの発電装置を設置できる富裕層には有利だが、それのできない低所得層に集中的にしわ寄せすることになる。これは好ましいことではない。

また、低所得者の負担を補填するために何らかの財政援助を行うにしても、結局税金で発電者を支援することにはかわりがない。これでは農業がたどった道と同じで、際限なく援助を続け無ければならないだろう。さらに、より安価な発電装置の開発努力への意欲がそがれ、日本経済全体の競争力が低下することにつながる。

発電者への援助より、援助が無くても経済的に引き合う発電設備を開発する者に支援を行う方が、結果として早道で全経費が少なくてすむ。また、そのような設備は当然国際競争力がある物になるはずだ。国内メーカー優遇だと苦情を言う外国メーカーも当然あるだろうが、日本の政治家や官僚はそれを恐れすぎる。他国は既にそのような措置を行っているのだから、日本だけが遠慮する必要はない。国際機関で係争している間に開発を終えてしまえばよいのだ。

そのぐらいの図太さがなければ、国際競争で勝ち残っていけない。

追記(2010/10/07);
その後気がついたことが一つある。それはヨーロッパには風車の伝統があると言うことだ。北欧からスペインまで様々な目的で風車が利用されてきた。平坦な低地ヨーロッパではもっとも利用しやすい天然の動力源だったからだ。言ってみれば風車はヨーロッパ文化の一部だ。

これに対し、山地が国土の大部分を占める日本では、急な流れを利用した水車が多く利用されてきた。水車が日本の伝統文化と言っても良い。

こんな伝統の違いも普及の差の背景になっている可能性がある。それを考慮すると、日本では水車を使った小規模発電の方が向いているかもしれない。

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