住宅構造と熱中症
以前の記事(熱中症増加の原因)で最近の住宅構造が熱中症を起きやすくしていると書いた。それに関して思い出したことがある。
戦後復興の過程で、人口の都市集中が進み深刻な住宅不足が発生した。その対策として大量に建てられたのが公団住宅で、同じ構造の建物は大企業の社宅としても大量に建てられた。公団型住宅にもいくつかのタイプがあったが、代表的な間取りである2DKを取り上げてみると、ダイニングキッチン、風呂とトイレの水回りースペース、そして6畳の和室二間が「田」の字型に配置されていた。
当時はまだ、エレベーターが高価だったため、奇数番目と偶数番目の間に階段が設けられ、今のマンションに見られるような共用の廊下は無かった。そして二間の和室の間はふすまで仕切られていたため、両室の窓を開けてふすまを取り払うと簡単に風が吹き抜けるようにすることができた。
当時はまだ今のように家族間のプライバシーは重視されていなかったので、誰もこのような構造に疑問を持たなかったのだが、今から考えると夏を涼しく過ごすという点では優れていたといえる。特に共用廊下がないので、夜間も両側の窓を開け放しておくことが可能で、寝苦しさを軽減するという点では有利だった。
私も、幼児の頃3DKの公団型住宅で暮らし、また社会に出てからも再び公団型の2DKや3DKの社宅で暮らしたことがある。エレーベーターがないので買い物の荷物が多いときは大変だったが、風の通りがよく夜間の室温がコンクリートの建物の割には下がりやすかった。
今の人たちには、ふすまだけで仕切られてプライバシーが確保できないことは考えられないのだろうが、高齢者用の住宅としてこのような構造を復活させても良いのではないだろうか。階段プラスエレベーターではコストが高いが、一般住宅にもエレーベーターという時代のようだから、昔ほどのことはないだろう。
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