中国漁船長釈放は外交上の大失態
中国漁船長を帰国させたのは外交上の大失態だろう。比較して言えば大阪地検特捜部の不祥事どころではない。
あちらは後からでも処分して取り返せるが、こちらは後からでは取り返しが付かない。中国の一般人は領土争いで日本が全面的に譲歩したとして勝利感に浸るだろう。そしてさらに対応しにくいトラブルを起こそうとするはずだ。中国政府としても国内対策として要求をエスカレートさせ、より多くの利益を得なければ体面がつぶれる。だから一度一方的に譲渡すると次々と譲歩しなければならなくなる。
もし政府が、これで東シナ海ガス田問題の譲歩を期待したとすればおめでたいとしか言いようがない。外交とはそんなに甘い物ではない。中国はこの問題でもさらに強硬な態度に出るだろう。
対等な外交交渉とは、足して二で割って手を打つのが通例だ。要求も譲歩もそれを前提に行わなければならない。そうしなければ双方の面子が立たないからだ。
だから今回の対応は、外交上全くの大失態だと言わざるを得ない。戦後このような甘ったれた譲歩外交ばかりしてきた外務官僚たちは、全く何も学んでいないようだ。
北方領土問題も、足して二で割ることを前提に要求を出し、交渉していればとっくに解決していただろう。それは、ソ連とフィンランド、あるいはソ連と中国の領土交渉の決着の仕方を見れば歴然としている。
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