豪雨続く
今年(2010)は春から豪雨が多い。かつては集中豪雨とも呼んだが、最近はその呼び名は使われないようだ。観測点が増えたため豪雨が観測される範囲が広がって、「集中」とは呼びにくくなったのかもしれない。
それはともかく、天気図を見ると早くも「秋の長雨」の走りとでも言いたいような前線が現れている。しかしこの前線は例年の物より大規模のようだ。気象衛星の画像を見ると、ヒマラヤ山脈の西側からカナダ近くまでの前視界にわたって長大な雲の列がある。この雲の列が、インド・パキスタン、中国西南部から華南、そして日本に豪雨をもたらしているようだ。
この原因は「エル・ニーニョ」あるいは「ラ・ニーニャ」とも言われるが、これは赤道付近を西に流れる赤道海流の強さを反映しており、この海流はまた、中緯度を東へ流れる海流の強さの影響を受ける。さらに海流の強さを決める大きな要因は風である。赤道付近を西に吹く貿易風と中緯度を東に吹く偏西風がそれだ。
一方でこれらの風の強さを決めるのは、中緯度と高緯度の両気団の強さだ。そしてこれは海面温度分布の影響を受ける。
というわけで、風と海流は相互に影響しあって一種の振動現象になっていると思われるが、各地域のわずかな平均気温の変化がこれにどのような影響を与えているのかはまだわからない。多数の研究者がそれぞれのモデルに基づいた予測を出しているが、今のところ現状をなぞるのが精一杯で将来の予測に十分なレベルではない。
現在の世界気象はそのような震動の振れ幅が大きくなっているような気はする。これが一時的な現象で、やがて以前のような状態に戻って落ち着くのか、あるいは新しい準安定状態に移るのか、当分の間続くのか。これは大規模な食料難民を発生させるなどして、世界の政治情勢に影響する可能性があるだけに各国は広範な対応を考えておくべきだ。
« 橋下氏が阿久根市長を賞賛 | Main | 都会に水田が復活すれば »
Comments