何を今更
日米安保関係の密約に関する報道が続いている。しかし、私には今更何を言っているのかとしか思えない。日米安全保障条約や沖縄返還に関する密約は、当時から既に公然の物だったからだ。
日本政府の、「米国は日本人の心情を尊重して核を持ち込まないと日本政府は考えている。従って、日本政府は米国艦船の日本入港にあたって核兵器の有無を問い合わせることはしない。持ち込むのであれば事前協議があるはずだ。」と言う説明が詭弁であることぐらい、よほどおめでたい人以外は承知していた。しかし、この詭弁を黙認するのが多数派だった。
その理由は、日本の復興に不可欠な対米輸出に対する悪影響を恐れたり、おぞましい核兵器が日本に持ち込まれ、それを阻止するすべがない事から目を背けておきたいなどいろいろだった。表だって反対するのは社会党と共産党だったが、どちらも国会での非難は型どおりで真剣味が感じられなかった。また、反対理由も「良い核兵器と悪い核兵器」論で、国民の多くはそれにしらけていたこともある。
当時、国民の多くが密約があるのは真実だと考えながら、黙認していたのはこのような事情があるからだ。
それを今、日米密約が存在した証拠を見つけたと得意げに報道されても、我々の年代としては何を今更としらけるだけだ。密約に関する文書が表に出始めたのは、それを秘密にしている理由が既に過去の物になってしまったと言う事でもある。
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