官僚排除は愚行
民主党の政策音痴ぶりがますます目立っている。原因は民主党が政策立案に必要なスタッフを抱えていないからだ。その状態で官僚を政策立案に関与させないという民主党の方針は、全くの愚行としか言い様がない。
なぜならば、官僚機構は内閣と与党にとってもっとも安上がりに使える調査・提案組織だからだ。官僚機構は行政機関として、業務を行う為に大規模な情報収集を行っている。そして、各担当分野を熟知した出先の担当者がいる。彼らは地方自治体を通さずに、直接に情報を収集している。理由は、地方自治体を通すと、自治体に都合良く色づけされることがあるからだ。
確かに、高級官僚は末端の詳細について全ての詳細な情報を頭に入れているわけではない。人間にはそんなことができるわけがない。しかし、高級官僚は配下の組織を動かして詳細な情報を収集し、それを分析することができる。その組織能力は政党の比ではない。同じ事は民間のコンサルタント会社にも可能かもしれない。しかしそれには多額の費用がかかる。民間のコンサルタント会社は、ちょっとした公開資料の収集だけでも数十万円を要求するし、それに分析や対処法の提案を求めたりすれば簡単に数百万~1千万円以上を要求するものだ。
これに対し、内閣が担当省庁に調査や分析資料を請求する分には別途の費用は必要がない。本来の業務を行うだけのことだからだ。もちろん分析の妥当性を吟味する必要はあるが、それはとかく依頼者に迎合する報告を出しがちな民間調査機関を使っても同じ事だ。
だから、官僚を政策立案から排除するのは全くばかげたことなのだ。官僚は自分たちに都合の良い資料しか出さないから云々は、閣僚が自らの能力不足を白状しているのと同じ事。政治家自身、あるいはそのスタッフに十分な吟味能力が有りさえすれば、官庁から出された資料を鵜呑みにすることはあり得ない。
民主党は、官僚を排除するのではなく、使いこなす事を勉強すべし。官僚を使いこなせない政治家は閣僚たる資格はない。さらにまた、民主党に迎合しない官僚は解雇するなどと脅すのは愚の愚だ。そんなやり方では、誰も良い仕事はしないものだ。民主党が、裸の王様になりたいのであれば別だが。
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