関西空港と大阪経済をともに振興するには
大阪府の橋下知事は伊丹空港を廃止して、旅客を強制的に関西空港に向かわせようとしている。
しかし、伊丹を廃止しても旅客は関空には向かわない。大部分は新幹線に流れ、残りも多くが神戸空港を利用するだろう。それは和泉地区を除く近畿の住民の多くにとって、関空の利便性が悪すぎるからだ。たとえば、京都からですら神戸空港の方が関空よりも短時間で安く行くことができる。伊丹廃止は結局、日本の他地域から見た関西の利便性を低下させ、関西経済をさらに地盤沈下させることになる。従って、伊丹廃止は関空振興にはあまり役立たない。
それならばどうすれば良いのか。それには、何度も言っているように関空の貨物ハブ空港化を図ることだ。夜間発着が可能であり、周辺に荷捌きや通関用の施設を建設する土地が十分にある、という関空の特性は、貨物ハブ空港としての利用に最適だ。さらに、夜間も通関手続きが可能にすれば、貨物ハブ空港としては強力なセールスポイントになる。そうなれば、航空貨物を利用する事が多い電子部品製造、医薬品製造などの精密産業にとっての立地条件が良くなり、周辺に集まってくるだろう。これはさらに関空の利用を増やすことになる。また、泉南地区の人口増ももたらすだろう。周辺に人が増えれば旅客の利用も増える。
このようにすれば関空と大阪経済の双方の振興の役に立つし、伊丹を廃止した場合のように、北近畿地区の利便性を低下させて経済の足を引っ張ることもない。
もちろんそのためには大阪府も相応の費用を負担しなければならない。空港橋の無料化、夜間通関のための人件費の負担などだ。着陸料や駐機料の軽減も必要だ。しかし、これらはいずれ空港への補助金の減少や税収の増加などで回収が期待できる。国の援助資金を引き出す為の後ろ向きの主張は捨てて、自ら資金負担をして建設的な施策を行うべきだ。
もたもたしていると、同じような条件を持つ中部国際空港に先を越される。陸上交通に関しては中部空港の方が地理的に有利だからだ。
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つかぬ事、お伺いします。
貴方は本気で中部国際空港に越されるとでもお思いですか?
それは、間違いでしょう。
現実、中部国際空港の便数は年々減少しています。特に貨物便は酷い状況です。
そんな状況の中部国際空港に関空の代わりは務まるのでしょうか?
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お答えします
本気で先を越される可能性があると思っています。理由は中部空港の方が関東・東海・北陸などへの陸上輸送の条件がよいからです。
この地域には、航空輸送を多用する精密機械、電子、精密化学の工場が多く立地しています。その点で、成田の能力不足を補う第2の貨物ハブとしては関西空港よりも有利な立地条件にあります。ですから、潜在的な競争力は関西空港よりも高いと考えています。
2010/03/22 馬納戸昇
Posted by: 名無しの権兵衛 | March 22, 2010 10:03 PM