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November 14, 2009

オドの魔法学校;パトリシア・A・マキリップ

この物語の第一印象は、孤独と安らぎに満ちた青い闇と、そこに浮かび上がる暖かな光りとめくるめく色彩だ。私はこの物語を読みながらシャガールの絵を思い浮かべていた。

物語は、異質なものに対する不安と誤解から始まり、どたばたの騒動と追跡劇、最後は思いがけない者の登場によりめでたしめでたしで終わる、コメディーの典型と言えるスタイルで進んでゆく。悪意の者は登場せず、敵役も自分のあり方と役目に忠実であろうと善意で行動し、傷つけられる者も死ぬ者もいない。いわば子供向けのおとぎ話の形をとった大人のファンタジーだ。

そして一貫するメッセージは、「周りに壁を作らず、異質なものに心を開き受け入れなさい、そうすれば人間はもっと豊かな存在になれる」、という事だろう。

現在世界で起きている紛争の多くは、自分の信仰や主義主張を振りかざし、異質なものを排除しようとする事から起きている。それに対する作家の思いがこの物語を書かせたのかもしれない。


オドの魔法学校,パトリシア・A・マキリップ著,原島文世訳/東京創元社 初版2008.2.15
    ISBN978-4-488-52007-6 C0197

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