薬物乱用
しばらく前のことになるが、芸能タレントの薬物事件が続いた後に、某大学の教授が薬物の使用を擁護する記事が新聞社のサイトに出ていたことがある。
その理由は第二次大戦後の焼け跡時代に、「無頼派」と呼ばれた人たちが覚醒剤を使いながら作品を書いていたからだという。この教授によれば薬物は文化的想像力を高める有用な物であるから、芸術家たちが薬物を使用するのを非難するのは不当だという。
しかし「無頼派」の作家たちにとっ、て覚醒剤は自分たちが一般社会からドロップアウトした存在であることの象徴であり、また食料などの物資不足の中で創作活動を維持するためのものだった。従って、物資不足など存在しない今、おもしろ半分に薬物を使用するのとはわけが違う。また、「無頼派」の作家たちも覚醒剤の連用により、肉体を破壊された人も多い。
覚醒剤や麻薬が禁じられるのは、それを使ううちに精神が幻覚や現実感の喪失などによって精神が破壊されるからだ。マリファナは有害性がたばこと大差ないから禁止するには当たらないという主張もある。しかし、たばことマリファナの決定的な違いは、マリファナには幻覚などの作用があるが、たばこにはそれがないと言うことだ。たばこを幻覚がでるほど吸うのは、誰にとっても快楽よりも拷問になるだろう。マリファナを長期に日常的に使っていると、精神機能に障害が出ることがあると医学的には知られているそうだ。やはり、自分を大切に思うなら、使わない方が良い。
追記;「麻薬」という言葉は、そもそも麻の葉をシャーマンが神がかりになるための幻覚剤に用いたことに由来するのだろう。麻から作った薬というわけだ。また、「麻酔」という言葉も、これを用いることによって無感覚になり痛みなどを感じなくなることから来たものだろう。インドでは夫に先立たれた妻を殉死させる習慣があった(今でもまれにあるらしい)が、この際には大麻樹脂の煙を吸わせて意識を混濁させたうえで火の中に投げ入れていたとも言う。
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