トンデモ科学者の疑問(生物編1)-生き物はなぜ死ぬのか?
細胞分裂で増殖する単細胞生物は見掛け上では不老不死だが、それ以外の生物は全て老化して死ぬ。生き物はなぜ不老不死ではないのか、その理由を考えてみた。そしてそれは、変化する環境に適応して種が存在し続けるためには、世代交代が不可欠だからだと言うことに気がついた。
全ての生物の形状や性質を決めるのは遺伝子だ。その意味で遺伝子は生物の設計図とも言われる(注)。そして、多細胞であれ単細胞であれ、生物が変異するには遺伝子に変化が起きなければならない。だが、遺伝子が変化できるのは、化学物質や放射線によって生じるものを除けば細胞分裂の時だ。細胞分裂時の遺伝子の複製にエラーが起これば、それが遺伝子の変化(変異)となる。
生じた遺伝子の変化が致死的ではない、あるいは生存に極端に不利でない場合にはその個体は生存して子孫を残す。そしてこれがその種の遺伝子的蓄えとして加わることになる。
もし、環境に変化が生じた時にこの蓄えが多ければ多いほど、環境変化に適応できる遺伝子がある可能性が高くなる。従って変化した遺伝子の蓄えが多い種ほど存続の可能性が高い。つまり環境変化に対する適応能力が高いことになる。
このような変異遺伝子の蓄えを増やすには、
1.個体数が多い。
2.世代交代が早い。
ことが有利である。
だが、個体数が多く世代交代が早いと言うことは、放置すれば個体数が増えすぎて飢餓に陥る危険をもたらす。そこで遺伝情報の維持に必要な数の子孫を残した個体は除去する方が良い。老化のメカニズムはこの目的で存在すると考えられるのだ。老化により生体活性が低下した個体は、他の生物に補食されたり事故に遭う可能性が高まるので、自動的に除去される。これにより種は、個体数の爆発的増加を避け存続することができる。これが生物が不老不死ではない、いやむしろあってはならない理由だろう。
環境変化に対する種の存続可能性としては、上記の他に地理的に広く分布することも有利になる。これは、広く分布していれば、環境変化が適応可能範囲内にとどまる可能性も増えるので当然だ。
という観点から、大きな環境変化が起きた場合に最も適応力がありそうな現生生物は何だろうか?そして、大型化して世代交代に時間がかかる、人類の環境変化に対応する能力はどうなのだろう。大型化し世代交代に時間がかかるようになった恐竜の多くが環境変化に対処できずに絶滅し、小型の羽毛恐竜が鳥に姿を変えて存続したのだとしたら・・・。
注;私は、遺伝子は設計図よりもむしろ、製造手順書のようなものだと考えている。同じ手順があちこちで使われているように見える、生物体のフラクタル的な構造を見ると、そう考える方が合理的だ。
(2009/10/08)
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