産地偽装の原因は日本人の性癖
相変わらず産地偽装の摘発が続いている。
頻発の原因は企業の利益至上主義などが挙げられ、経営姿勢が非難されたりしている。しかし根底には、消費者のブランド信仰もありそうだ。メディアで良いと紹介されると、その商品や店舗に人が群がり、やはり良いと褒めそやし違いが分かるふりをする。そして販売業者は、売れ筋とばかりにその商品を手に入れようと血眼になって、納入業者に圧力をかける。こうした消費者の行動パターンが、産地偽装事件を増やす原因になっているような気がするのだ。
このように、権威と言われる人や組織の発言を無批判に受け入れるというのは、古来からの日本文化の伝統のような気がする。その例として、万葉集に「よきひとの よしとよくみて よしといひし よしのよくみよ よきひとよくみつ」という和歌がある。この歌の詠者は天武天皇だと言うことになっているが、「審美眼があり身分の高い人が、良いところだと考えて良いと言っているところだから、吉野を良いと思って見るべきである。先人が良いところだとして見ていたのだから。」と解釈できる。つまり権威による評価はそのまま受け入れるべきであるという考え方が、この時代から一般的になっていたことが推定できる。
つまりブランド信仰はこの時代から続く日本人の性癖だと言うことになる。全ての分野で、メディアの宣伝を鵜呑みにしてそれを追いかけて右往左往するのも仕方がないのかもしれない。メディアがこれが一般に支持されている、あるいは主流の考え方だと言えばそれを無批判に信じ、ブランド品を争って買い、選挙の投票先を決めもする。この状況が続く限りは食品を含めた偽装商品は無くならないだろうし、選挙の度の大振れも繰り返されるだろう。
結局は、メディアを支配する物が、実質的な日本の支配者であるようだ。
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