二枚のイタリア民謡集(ディ・ステファーノとタリアヴィーニ)
懐かしさに惹かれて、2枚のイタリア民謡集のCDを買ってしまった。
1枚はジュゼッペ・ディ・ステファーノ(Giuseppe di Stefano)、もう1枚はフェルッチョ・タリアヴィーニ(Ferruccio Tagliavini)だ。それぞれ一時代を作ったイタリアオペラの名テノールだ。
早速2枚を聞き比べてみて、その違いが面白かった。音質を言えば、LPの最初期(一部はモノラル)のディ・ステファーノは歪みやノイズが目立ち、文句なくタリアヴィーニの物の方が優れている。しかしそれぞれの時代を反映しているのか、音楽としての印象の違いが際立っていて面白かったのだ。
一方のディ・ステファーノはジャケットの写真(このジャケットは子供のころに見た覚えがある)の様に、抜けるような青空の下、屋外ステージで歌っているような明るさが印象的だ。録音にうるさい人は、単に低音がやせているだけというのだろうが、これは第二次大戦が終わった後の開放感を反映しているのかもしれない。これに対して、タリアヴィーニは音響の完備したオペラハウスのステージで歌っているような端正な感じがある。これは録音技術の発達を反映しているのだろう。
もちろん、歌そのものはともに名手の歌ですばらしい。どちらが良いかは聞く人の好みしだいだ。
1.The Best of Napolitan Songs,Giuzeppe Di Stefano/Sings Napolitan Songs
EMI Classics 決定版 1300/49
1.カタリー(つれない心),Core'ngrato
2.帰れソレントへ,Torna a Surriento
3.君を求めて(泣かないお前),Tu,ca nun chiagne
4.君に告げて,Dictencello vuie
5.あなたにくちずけを,I'te vurria Vasa!
6.マレキアーレ,Marechiare
7.お母さん何が知りたいの?,Mannma mia,che vo'sape
8.カルメラ,Carmela
9.マリア・マリ,Maria Mari
10.サンタ・ルチア,Santa Lucia
11.光りさす窓,Fenesta che lucivi
12.なぜ?,Pecche?
13.ガッパリア,Guapparia
14.プシレコの漁師,Piscatore'e Pusilleco!
15.静けさに歌う,Silenzio cantatore
16.遙かなるサンタ・ルチア,Santa Lucia luntana
17.孤独,Senza nisciuno
18.情熱,Passione
19.オー・ソレ・ミオ,'O sole mio
20.フニクリ・フニクラ,Funiculi,Funicula
2.Canzoni Napolitane e Romanze,Ferruccio Tagliavini
RCA Red Seal,The BEST/BMG BVCC-37705
1.カタリ・カタリ,Core'ngrato
2.ヴリア,Vurria
3.つねってキッスして,Pizziche e vase
4.帰れソレントへ,Torna a Surriento
5.五月の夜,'Na sera'e maggio
6.あなたのくちづけを,I'te vurria vasa
7.君を求めて,Tu,ca nun chiagne
8.君に告げて,Dictencello vuie
9.お母さんどうしたの?,Comme facette mammeta
10.夜の声,Voce'e notte
11.プジレコの漁師,Piscatore'e Pusilleco
12.オー・ソレ・ミオ,'O sole mio
13.ドリゴのセレナード,Notturno d'amore
14.禁じられた音楽,Musica proibita
15.マッティナータ(朝の歌),Mattinata
16.理想の人,Ideale
補足;SPからLPへ、そしてLPモノラルからLPステレオと変わってい行く時代の録音なので、特にステファーノのものはモノラルが多い。左右の音の分離が悪いなどと言わないように。以前フルトベングラーのモノラル録音に、音が中央に固まって団子になっていると文句をつけていた者がいたので念のため。
« 「直葬」は語感が悪い | Main | 隠れ相乗り »
« 「直葬」は語感が悪い | Main | 隠れ相乗り »
Comments