中国の民族紛争
中国で民族紛争が続発しているが、その根源は歴史にある。
数千年もの間、自らを中華と称し、周辺民族を蛮族として見下し続けてきた漢族にとって、漢族の優越は心理的に絶対に譲れない。そのためには、漢族が政治的にも経済的にも優越的な地位になければならない。そしてこれが地方に進出した漢族の優遇に繋がり、また、優れていると考えている漢民族の文化的伝統を他民族に押しつけることにもつながっている。これらによって、他民族が抑圧されていると感じ、不満を募らせているのは当然だ。
そして、沿岸部の経済発展により大きな利益を得た漢族が、大挙して他民族が多い内陸部に進出し、劣悪な条件で他民族を雇用し、自分たちは贅沢な他民族を見下した生活を満喫する。自分たちの優越性を信ずる漢族にとっては当然の行為だが、他民族にとっては我慢がならないだろう。そうした反感による暴動は、漢族にとっては劣等民族の反乱として許せないものだ。これは、開拓時代のアメリカで先住民族に対して行われた事と、心理的かつ政治的に同じ性質のものだ。
今後、民族間の政治的及び経済的格差は拡大するだろう。そしてそれに宗教的問題が絡むと、事態は収拾できなくなる可能性がある。イスラム教過激派が、この紛争に乗じて勢力を伸ばそうと動き始める可能性は、十分考えておかねばならない。そして漢族が支配している中国政府には、民族格差を是正する意思はないはずだ。
日本政府や財界も、宗教戦争が中央アジア全体に拡大する事は予測しておかねばならない。
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