地球の将来は温暖化? それとも寒冷化?
文明化による環境汚染に伴う温室効果ガスの増加が原因で、近い将来地球の気候は温暖化するとの考えが広まっている。環境学や気候学の研究者の間ではこれが主流だが、それとは異なる懸念が天文学の研究者から出されている。
それは、地球が寒冷化し小氷河期が始まりつつあるのではないかという指摘だ。根拠は、太陽活動が過去数百年無かったほど衰えていて、黒点極大期であるにもかかわらず黒点が少なく、太陽からのエネルギー放射も減少していることだそうだ。
前回このような現象が現れたのは16~17世紀で、このときにはロンドンのテムズ川が分厚く結氷するなど、世界的に寒冷な気候が続いたそうだ。これについては私も、凍ったテムズ川で大勢がスケートを楽しんでいるところを描いた銅版画を見たことがあるので、実際にあったことなのだろう。
また、しばらく前から太陽内部からのニュートリノの量が異常に少なく理論と会わないことから、太陽内部での核融合活動が低下しているのではないかという可能性が提出されていた(異論もあるようだが)。その時は、これが太陽中心部で起きている変化の前触れであるとすれば、それが表面での活動に現れるのに100年以上かかるといわれていた。しかし、太陽のニュートリノ放射が測定できるようになったのは最近のことなので、活動低下は以前から始まっていて、その影響が今になって表面に現れ始めたと言うことかもしれない。
温暖化ガスの増加によって、地球の保温効果が高まることは間違いないだろう。しかし、それについてもある期間が過ぎると寒冷化に向かうとの説がある。理由は北極の水温が上がると表面から深海への海水の沈み込みが減り、北極に流れ込む暖流が止まるので極地の寒冷化が始まり氷雪地域が広がる。これが太陽からの熱を宇宙に反射することが引き金となって、全地球規模での寒冷化が進み、最悪の場合には地球の大部分が氷に覆われるのだという。実際に北極での海水の沈み込みが数十年前に比べて減り始めているという報告もある。
このように、地球の近い将来(数百年)の気候変化については様々な意見が出されている。いずれの説も実際の観測データに基づいて出されているので、その視野で見る限りは真実を含んでいるのだろう。今後どちら向きの変化が優勢になるのかに、人類の将来の生活がかかっている。双方の変化が上手く釣り合ってくれるなどと言う、都合の良いことはありそうもない。
おそらく、太陽活動と地球全体の熱循環及び熱収支をにらみながら、温暖化ガスの量(排出量ではなく大気中の存在比)をコントロールすることが必要なのだろう。そのためには、減らすよりも増やす方が簡単な温暖化ガスの排出を、当面は減らすべきであるのはもちろんだ。
ブログ内関連記事; 「太陽活動と気候変動」 2012/09/09
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