トヨタ神話にかげり
今年の始めから予想されていたことではあるが、トヨタの成長力の衰えがはっきりしてきたようだ。
ここしばらく、トヨタはダイムラーに対する対抗心をむき出しにして、大型化、大排気量化を推し進めてきた。しかし原油高によってその付けが出てしまった。特に大型化の最前線の米国での中・小型シフトによって、新工場の稼働のめどが立たないなど、深刻な打撃を受けている。
その一方で、新興国市場では現地メーカーの小型車に対抗できず、ここでも高級車への依存を高めてきた。しかし新興国市場での中心は、かつての日本がそうであったように小型大衆車だ。かつてのトヨタは、利益率は高いが利益総額の少ない高級車よりも、利益率は低いが総需要の多い中小型車を世界に送り出すことで成長してきた。そこでの競争力を失ったトヨタは(同じく大型化を推し進める日産も)、新興国のメーカーに追い上げられ、米国メーカーと同じ道をたどることになるのだろう。
大排気量・大型の高級車が、トヨタにとって白い象にならないことを祈りたいのではあるが、今後も自動車が日本経済の牽引車になるとは考えない方がよい。
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