流れが変わった
安倍政権の崩壊で政界の流れが変わった様だ。
破壊することだけに注力し、数とムードを頼みの独裁的手法を用いた小泉政権。その手法を受け継いで戦前の軍国主義回帰を目指した安倍政権。そのどちらも説明責任を十分に果たしたとは言い難い。福田政権はその反省にたって、説明を尽くし、議論を尽くして合意に基づいた政治を行おうとしているように見える。今後、それが外見だけではなく、実質を伴ったものになるかどうかを見てゆきたい。
実はこの手法、議論の中で反主流派や野党の主張を取り込んで自分の政策にしてしまうと言う手法は、戦後の自民党の長期政権を支えた根本原理でもある。各党の論客が国会の内外で論戦を繰り広げ、時には敵手の主張を取り込んで政策を練り上げていくのはよく見られたことだ。もちろん論戦は公開の場だけではなく、非公開の場でも行われていたが、その内容はしばしば故意にリークされ、消息筋からの情報などとして報道されていた。
その時代、政治家も報道関係者も、双方ともそのような情報の取り扱いは目的と節度を持って行っていたのだ。そしてその背景には両者の信頼関係があった。さらにいえば、信頼関係を作り上げる基となっていたのは、お互いの人格と立場に対する敬意だった。互いに尊重しあうことによって、相手を利用することができ、また、自分の信念に反しない範囲で故意に利用される事ができたのだ。いま、政治家とジャーナリストの間にそのような信頼ある関係がどれほどあるのだろうか。
対話を重視しようという福田政権の登場によって、政治家とジャーナリストの間の信頼関係が復活すると良いと思う。政治家もジャーナリストも、お互いを信頼しあえるだけの堅固な人格を形成してもらいたいものだ。
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