破壊と創造と
安倍氏が失敗し、麻生氏が総裁選挙で敗れた原因は、改革に伴う破壊と創造とが大きく関係しているように思う。
改革者には、破壊的改革者と創造的改革者がある。多くの人が支持した小泉改革は実は破壊の改革であり、小泉氏自身も破壊の後に何を創るのかのビジョンは持ち合わせていなかった。しかし、彼は自分が破壊者であって創造者ではないことをわきまえるだけの賢明さは持ち合わせていた。だから破壊によるひずみが限界に達すると、破壊の後の地ならしと、新しいシステムの創造は後任に任せようとした。それ故、3期目続投を望む声を振り切って首相の座を退いたのだ。
ただ、冷淡な性格の小泉氏は安倍氏に適切な助言を残さなかったのだろう。だから、はやる安倍氏はまず最初に整地を行うべきであることを理解せず、瓦礫をそのままにした上に「美しい国日本」を創ろうとして失敗したのだ。
一方福田氏は、世論の大勢が破壊的改革の継続を望んでいた昨年の状況では、自分の時にあらずとしてたたなかったのだろう。そして今回は、小泉改革によるひずみの修正を求める声が強くなったので、バランスをとるための調整を得意とする福田氏は働きどころがあると考えたのだろう。
実際に今必要なことは、改革を次に進めるための地ならしと、基礎工事を行うことだ。そしてそれは喝采を受けにくい地味な作業で、劇場型政治家にはなじまない。福田氏を支持した人の多くは、その地味な役割を彼に求めたのだろう。
そして福田氏の次に来る人は、今度こそ創造的改革者であってほしいものだ。
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