事故原因調査と刑事免責
最近の各種事故に関する捜査を見るにつけ、加罰主義、報復主義に傾きすぎているような気がしてならない。被害者とその家族の心情は分かるが、可能な限り多くの責任者を見つけ出して報復したいという欲求が強すぎるように見える。
テロリストを除けば、事故を起こしたくて起こす者などいない。最も重要なことは、同種の事故を再発させないことだ。加罰主義や報復主義はその妨げになる。自分に不利な供述は誰もしたがらないし、しない権利が憲法で認められている。自分に不利な供述をしてもらうには、刑事免責を行うべき場合もある。多くの国で事故調査における刑事免責を行っているのはこのためだ。
製造会社で行われている「ヒヤリ・ハット報告運動」では、報告者を処罰しないことを保証している。報告して処罰されるのでは誰も報告したがらないし、報告がなければ潜在する事故の芽や微小な事故の原因を分析して、大事故の防止に役立てる事ができなくなるからだ。
JR西日本の加罰主義が尼崎脱線事故を招いたことを他山の石とすべきだと思う。未必の故意が当てはまる場合を除き、刑事免責を考えるべきだ。
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