忍び寄る原材料インフレ
ここ数年、世界は原材料の値上がりにみまわれている。原因は中国、インドそしてロシアなどの急激な経済発展による需要増だ。これらの国はかつては鉱産物、化学原料などの輸出国であったが、今や輸入国に代わりつつある。特に中国は世界の工場と言われる一般消費財の輸出国であったが、国内需要増により輸出が急減している。これに伴い原材料の輸入も急増しており、これが世界的に原材料の価格を押し上げている。
日本国内でも、輸入原材料への依存率が高い分野から価格が上昇しており、次第にこれが川下に波及している。このため、大手企業でも原材料価格の値上げを受け入れざるを得なくなっており、そのコスト上昇は労務費その他にしわ寄せされている。
しかしこれにも限度があるので、近い将来諸物価が一斉に上昇し始める可能性がある。また、バイオエタノールの増産による穀物価格上昇が、飼料穀物を含む食料全体の価格上昇に連鎖する可能性もある。デフレが止まったと喜んでばかりはいられない状況なのだ。
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