株主重視と成果主義は最悪のコンビ
現在もてはやされている「株主重視経営」と「成果主義」は最悪の組み合わせだと思う。
なぜならば株主、特に機関投資家は短期の配当収益を求め、その企業の10年20年先を見ての経営など眼中にない。そして、賃金を削ってでも配当に回し、派手な企業情報をばらまく事で株価を押し上げるよう要求する。
その結果、企業幹部の経営能力は株価で評価され、長期的展望に立って長い将来安定した収益を上げられるような経営をしているかどうかは軽視される。だから、経営者達も長期的安定よりも目先の利益を追いかけざるを得なくなっている。
このため、経営者にとって優秀な従業員とは目先の利益を上げられる者と言うことになり、長期的な課題に取り組む者への評価は低くなる。つまり、利益が上げられるようになるまで長期間かかる技術開発や、利益に直結しない基礎研究を担当する研究者や技術者などは評価が上がらず、収入も地位も上がらない事になる。その結果、収益に直結しない課題を与えられた者は、収益に直結しやすい仕事を求めて他社に移っていくことになるだろう。
また、短期的収益に貢献したかどうかでしか評価しない行き過ぎた「成果主義」は、勤務する企業に対する信頼感と忠誠心を減退させ、全体としてのモラルを低下させるだろう。
このままでは、将来必要になる技術の基礎的な研究に取り組む者はほとんどいなくなり、長い間日本経済を支えてきた技術的優位性は失われる。
近視眼的な「株主重視」と「成果主義」は日本経済を衰退させるだろう。
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