世界の中心で・・・
「世界の中心で愛をさけぶ」が話題になっていますが、このタイトルを聞いて私はハーラン・エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」を思い出しました。 やはり同じ連想をした人が多いようでネット上ではタイトルのパクリだとか謝るべきだとか賑やかですね。 エリスンの作品はSFの世界では有名な作品なので、私も一部を借りてタイトルにしたのだろうと思います。 少なくとも出版社はエリスンの作品があることは知っていたはずですし、知らなかったとすれば編集者としてはものを知らなさすぎで、勉強不足と非難されても仕方がないと思います。
ところで書籍のタイトルがよく似ているのはこの作品に始まった話ではなく、最近では「チーズは・・」の例もありますし、ほかにも「間違いだらけの・・・」など例を挙げようとすればきりがありません。 私が書店である本を探していたところ、全く同じタイトルの別の著者の本があって間違えて買いそうになったこともあります。 出版社にとって、気の利いたタイトルがあればそれの剽窃することなど昔から普通に行われて来たことで、タイトルの剽窃で話題になることも宣伝の1つとしか考えていないでしょう。 要は著者と出版社の知識とプライドの問題だと思います。 プライドのある著者なら先人の著作に似たタイトルを自分の著作につける事は自著のオリジナリティを貶めるものとして抵抗を感じるでしょうし、プライドのない出版社は売り上げを増やすため、過去の出版物から気の利いたタイトルを借りることに何の抵抗感も無いでしょう。 よく似たタイトルを付けるかどうかはその兼ね合いで決まると思います。 よく似たタイトルの雑誌を排除するために商標登録しなければならない様な世界ですから。
話変わって、ハーラン・エリスンといえば上記の作品も有名ですが、私は「悔い改めよハーレクイン、とチクタクマンは言った」という短編が印象に残っています。 はるか昔に「SFマガジン」で読んだものですが、翻訳のリズミカルな語り口もあって、文中に「モンドリアン風の・・」というくだりがあった事にも影響されて、彼の絵、特に「ブロードウエイ・ブギウギ」を見ながら読んでいるような気がしたものです。 当の「SFマガジン」はとっくに処分してしまい今はもう手元にありませんが。
2004/07/03 馬納戸昇(UMANANDO NOBORU)
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