プーチン氏の誤り
ウクライナへの侵攻でプーチン氏はいくつかの兵法上の誤りを犯したようだ。
その1は、孫武の言う「敵を知り己を知れば百戦して危うからず」に従わなかったことだ。 これは曹操の注釈によれば、「彼我の比較を念入りに行い必ず勝てるときだけ戦えば決して負け得ることはない」と言う事だ。 この点においてプーチン氏はろくな比較を行わず、ウクライナはすぐに恐れ入るはずだという思い込みで開戦した。 あるいはウクライナ人の内報者のおべんちゃらを鵜呑みにしたのかも知れないが。
その2は、孫武の言う「開戦後に勝てないと分かれば直ちに引け(*)」にも従わなかったことだ。 ウクライナの抵抗が予想外に協力であると知ったときに、すぐに撤退して体勢を立て直すべきだったが、ロシア国内の事情のためかそれが出来なかった。 そして開戦前の準備もろくにしていなかったため、弾薬や兵器の不足に直面する事になった。 また、ウクライナの首都までパレードして行けば、ウクライナの女性が花束を持って迎えてくれるという幻想を抱かされていたロシア軍の兵士達の戦意が大幅に低下することにもつながった。
(*)孫子にはない、「三十六計逃げるに如かず」はこれが変化したものだと言われているらしい。
孫子にはもう一つ重要な言葉がある。 それは「戦争を始めることは簡単だが、それを収めることは難しい」だ。 安易に戦争を始めてしまったプーチン氏は、その言葉の意味することに苦しんでいるだろう。
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