少女サーカス
かつて体操について言われ、フィギュアスケートでも一時言われたことがあるが、フィギュアスケートはまた少女サーカスに戻りつつある様だ。
跳んだり跳ねたりを高く評価するとどうしても10代半ばの少女選手が有利になる。 それは女性の体の特性で致し方がない。 人類の曙の時代、子供は素早く動き回らなければ自分の身を守ることが出来なかったので、素早く動ける筋肉が重要だった。 しかし女性が大人になると、子供を守り育てるためには持久力のある筋肉が重要になる。 まだ自分では動かない乳幼児を運ばなければならないからだ。 百万年以上人類はそうして命をつないできたのだし、そうしてできあがった体の特性は数千年では変わらない。
このため女性は十代の半ばから二十代始めに掛けて、筋肉が瞬発型中心から持久型中心に変化する。 これが跳んだり跳ねたりではローティーンの少女がハイティーンや二十代の女性より有利な理由だ。 従って高度なジャンプに高い点を与える限り、フィギュアスケートでは15~6歳の少女が有利になるのは致し方がない。
ロシアのザギトワやメドベージェワにしてもその例からは免れられない。 2~3年以前に比べると身長が伸びて顔立ちが大人びただけでなく、動きも変わってきている。 以前はピョンと軽そうにジャンプしていたのが、今では重さを感じさせるジャンプになっている。 しかしこれは上記の女性の体の変化がもたらすもので避けられないことなのだ。 これを避けようとすれば女性ホルモンが効かなくする薬を十代の初めから与え続けるしかないが、それは二十代以降女性の体に深刻な問題を引き起こすだろう。
そう考えると、フィギュアスケートの採点はもう一度見直すべきだろう。 少女サーカスとの批判を受け、女性のしなやかさや優雅さに多く配点した時期もあった。 荒川静香が金メダルを得たのもちょうどその時期だった。 女子選手の体に深刻な害を与えずに、競技寿命を延ばすためにも、もう一度採点の配分を見直すべきだと私は考える。
それが出来ないのであれば、日本も女子選手のピークは15~6歳と考え、それに合わせた選手の養成システムが必要になる。 昔ながらの養成方法では、もう金メダルは取れないのだから。
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