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March 25, 2019

進む大気汚染

今日は晴れていたのに終日視界が悪かった。 六甲山麓にある私の家からは、2Km程離れた神戸港が白いスモッグですっかりかすんでいた。 最近は北風が強い日以外はこんな状態で、それもだんだん酷くなってきている。

こんな白いスモッグは昭和40年代から50年代にかけて、特に夏の晴天時に多く発生し「光化学スモッグ」と呼ばれた。 「光化学スモッグ」は各種の大気汚染物質が紫外線で酸化され、「オキシダント」と呼ばれるフュームとなって大気中を漂っている状態を指した。 そして大気汚染物質の大半は石炭や石油を燃料として燃やした排気に含まれるものだった。 それらのガスが紫外線で酸化されると強い酸化力を持つ「オキシダント」になり、これがさらに大気中の揮発性有機物を酸化すると強い発癌性を持つ物質を生成するとされていた。 こうして生成した有害物質が大気中の微粒子や硫黄酸化物由来のフュームなどに吸着され「白いスモッグ」となっていたのだ。

当時は大気中の微粒子よりも「オキシダント」が重要視され、これを常時監視していて有る濃度を超えると「光化学スモッグ注意報」や「光化学スモッグ警報」が出された。 注意報や警報が出ると、工場や火力発電所などでは条例の定めに従ってボイラーの稼働を止めたり工場の操業を止めたりしなければならなかったので大きな経済的損失が出ていた。 大気汚染防止法の強化には、健康被害の防止とともに経済的損失の防止も大きく寄与した。

このような大気汚染は工場のボイラー燃料の天然ガス化や、自動車のエンジンを含む排気中の汚染物質の削減技術の進歩によって軽減されてきたが、ここに来て再び悪化している。 現状では固体微粒子のいわゆる「PM2.5」ばかりが騒がれているが、汚染物質由来のフュームやガス状物質も健康被害という点では無視できない。

こんな大気汚染はしばしば話題になる中国やインド以外でも深刻化しているようで、報道によるとパリなどの西欧の大都市でも自動車の乗り入れ規制をし始めている。 背景には、自動車の大型化に伴う排気量拡大による排気ガスの量の増加や、重量増加によるタイヤや路面の摩耗粉の増加などがあるだろう。 特に路面の摩耗も無視できないので、白いスモッグの低減には自動車の電動化だけでなく軽量化による粉じんの減少も必要と思われる。

今後、スモッグ対策として自動車への各種の締め付けが強化されるだろうが、自動車メーカーの賢明な対応を望みたい。

補足;
夏期に多く発生する「光化学スモッグ」は空や遠くの風景が白くかすむ為「白いスモッグ」と呼ばれたが、燃料の主役が石炭であった時代には煤塵と硫黄酸化物主体の灰色のスモッグが冬に多発していて、これは「黒いスモッグ」とよばれた。 いまだに石炭の使用量が多い中国やインドのスモッグは混合型と言え、「灰色のスモッグ」と呼ぶのがふさわしいかもしれない。

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