サーモンとsalmon
先日のAFPの記事によれば、中国のニジマス養殖業者がニジマスは鮭であるとの声明を出したそうだ。 これについては日本では以前からニジマスをサーモンあるいはサーモントラウトと表示することが許されているので、中国がごまかしの先輩の日本に追随したと言う事になるのだろう。
AFP記事;「養殖ニジマスは「サケ」、中国業界団体が宣言 偽装疑惑受け」2018年8月16日 14:09
発信地:北京/中国 [ 中国 中国・台湾 ]
ところでそもそも鮭と鱒、あるいはsalmonとtroutはどう違うのだろうか?
英語ではsalmonとtroutの区別は明快で、生涯淡水で過ごし海に下らないものがtroutで海に下るものはsalmonだ。 これに対し日本語では鮭と鱒の明確な境界は無く小型の鮭を鱒と呼び習わしているようだ。 たとえば鱒(本鱒)もカラフト鱒も海に下るし、桜鱒や五月鱒もアマゴやヤマメの降海型で、遡上時には銀色のやや小型な鮭の姿をしている。 また陸封型の鮭の仲間で銀色になるもので銀色になるものは姫鱒やクニマスのように鱒と呼ぶが、銀色にならないものはそれぞれ鱒とは呼ばず独自の名前を持っている。
一方、明治以後に欧米から移入された降海しない鮭の仲間はいずれも川鱒類してとまとめられ、虹鱒、雨鱒などと呼ばれている。 これはtroutを鱒と翻訳したからだろう
そこで虹鱒(rainbow trout)を鮭だとしてサーモンと呼ぶのは適切なのだろうか?
付け加えると、鮭や鱒の身が赤いのは海でオキアミのような甲殻類を主食にしているためで、甲殻類の色素が筋肉に蓄えられていわゆるサーモンピンクになるそうだ。 そこで養殖の虹鱒にオキアミを含んだ飼料を与えて育て、鮭と同じ色にしてこれはサーモントラウトで鮭だと主張しているようだ。 それならば、ヤマメやアマゴそしてイワナなどに同じえさを与えて肉色をサーモンピンクにしたっものはサーモンと呼んでも良いのだろうか?
さらに鮭の仲間は大きいので切り身も大きく15cm以上はあるだろう。 これに対し虹鱒を鮭並みに育てるには広い養殖地と大量のえさが必要になる。 それで小型のうちに出荷するので切り身も小さく、一般には10cmを少し超えるぐらいが関の山だろう。 つまり焼き鮭弁当に切り身が入っていて、それが10cm程度しか無ければサーモンと表示されていてもそれは虹鱒だと考えて良いだろう。
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