朝鮮半島の地震記録
一般に、大きな地震は無いと信じられてきた朝鮮半島南部で、地震が多発した後にやや強い地震が発生して韓国人の間に不安感が広がっているそうだ。そこで歴史に記録された朝鮮半島の大地震を調べてみた。
日韓の地震学者の共同研究(*)によると、過去2,000年間に被害が歴史書に記録された地震が40回あり、最大のものはM7を超えるとされている。これは阪神淡路大震災の原因となった兵庫県東南部地震とほぼ同規模だ。また、被害が記録されている地震の年代別推移を見ると17世紀と18世紀に集中し、19世紀以降は減少しているようだ。これを地質学的時代スケールで見ると、活動期と静穏期があると言うことだろう。また、震源は半島北東部には少ないもののほぼ半島全域となっている。
これをまとめると、朝鮮半島に地震が無いわけでは無いがこの2世紀間大きな地震が無く、被害をもたらすような地震もごく少なくなっていた。このため、一般人には朝鮮半島には地震が無いと信じられるようになったのだろう。
今後朝鮮半島の地震が活動期に向かうのかどうかは推定不可能だが、大きな地震が起きないと考えるべきでは無いだろう。特に、韓国の都市部に多い高層集合住宅や、北朝鮮の社会主義型量産集合住宅(**)の耐震性がどの程度であるのかの確認は必要だろう。
*「韓半島で発生した最大級の地震-1681 年6 月韓国東海岸地震-」 歴史地震 第20 号(2005) 169-182 頁
Seoul 大学校海洋研究所 秋 教昇、
Seoul 大学校自然科学大学地球環境科学部 朴 昌業、
東京大学地震研究所 都司嘉宣
文献アドレス http://www.histeq.jp/kaishi/HE20/28-Chu.pdf (2020/05/22 アドレス変更のためリンク先を修正)
** パネルや箱を積み上げただけのような建物が多い。
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