北方領土交渉
ロシアを訪問した安倍氏が、新しいやり方で北方領土交渉を行うといっている。しかしこれまでに報道された内容を見る限り、金で好意を買おうとする旧態依然たる方法だ。これはソ連崩壊後に行ってきて何も成果が得られなかったものと同じで、これでは新しい展開を期待は出来そうもない。
それよりも何よりも、北方領土返還に対するロシアの回答は10年前から明確に示されている。それは四島を要求されたので二島を返すがこれで手打ちをしようというものだ。この意志は国後と択捉に対するロシアの開発計画にはっきりと現れている。
「中を取って手打ち」というのは全ての交渉事の基本だ。これであれば互いに譲り合ったと言う事になり、双方の体面が保てると言う事になっている。ロシアの国後歯舞二島返還提案はこの基本にしたがったものだ。
四島要求で始まった以上、四島全ての返還は戦争して勝つ以外にはあり得ない。後に残る交渉余地は、国後・択捉に較べてごく小さい歯舞・色丹二島のの扱いだ、日本側の交渉能力次第だが、色丹島を歯舞島の付録として返還してもらうことは不可能とは言えない。
なお、択捉島の返還はまずあり得ない。それはロシアのミサイル原潜基地であるペトロパブロフスク・カムチャッキーから太平洋に出る通路として、水深が深い択捉水道が戦略上重要だからだ。択捉を日本に返還すれば、択捉水道に米国の潜水艦探知網が張り巡らされることになる。これはロシアとしては絶対に容認できないことだ。
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