熊本城修復
今回の地震で損壊した熊本城の修復には長い期間を要するだろう。
指定文化財の修復には文化庁が定めた厳格な基準があり、それに則って行わなければならないからだ。まず現状の確認と、本来の姿の推定を正しく行わなければならない。それには、回収された部材がどの位置にどのように使われていたのか、どんな形状であったのか、そしてそれが修復に利用可能であるのかの確認も含まれる。特に崩落した石垣の原状推定は、熟練した石工をもってしても困難を極めるはずだ。
恐らく、この作業に3~5年は必要だろう。そしてそれに基づいて修復計画を立てて文化庁の承認を得なければならない。これを含めると、修復作業を開始できるのは早くても5年、おそらくは10年近く後のことになるだろう。そして修復工事に解体も含まれるとすれば、工事自体にも10年近い年月を要するだろう。
地震で倒壊した木造城郭の修復工事は、福井大地震で倒壊した丸岡城の前例はあるが、熊本城は規模が遙かに大きく、それだけに調査や準備に長い時間と多くの作業が必要になる。その間に崩壊が進むのを防止するため、現状保全目的の仮工事の準備を急がなくてはならない。
« 大震災発生で喜んだ人々(2) | Main | 奴隷戦士 »
Comments