国家間経済格差を映す難民問題
ヨーロッパに押し寄せる年間百万単位の難民の大群。これに対する各国の反応には差がある。特に各国で分担して受け入れるべきと言う議論には、各国の経済事情が如実に現れている。
多くの難民が目指すドイツは他国にも引き受けを割り当てたいとしているが、東欧諸国はこれに強く反発している。それは、ユーロ安で大いに潤っているドイツと、まだまだ貧しい東欧諸国の経済格差があるからだ。
国内の右傾化を警戒するドイツは自国で引き受ける難民の数を極力減らした上で、ナチス時代の行為を反省し続ける姿勢もPRしたい。そこで難民は各国で分担して引き受けるべきと主張している。しかし、国内にも貧困問題を抱えて、西ヨーロッパへ多くの出稼ぎ労働者や移住者を出している東欧諸国はとてもそれだけの経済的余裕はないから、大半の移民が目指すドイツや周辺の西欧諸国で引き受けるべきだと主張している。難民の方も、貧しくて職業を得る機会が少ない東欧諸国には行きたくない。つまりはEU内の経済格差が、難民が一国に集中する原因のひとつになっているのだ。
貧困国の存在によって安く抑えられているユーロ。それによる好景気と繁栄を享受するドイツやフランス。逆に好景気国の存在によって、自国には高すぎるユーロのレートのために不況から抜け出すことが出来ずますます貧困化する経済的弱小国。この国家間経済格差問題を解決しない限り、今後も様々なトラブルが発生し続けるだろう。
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