新国立競技場再コンペ
新国立競技場の再コンペには、日本のメガコン(メガゼネコン)の企業連合2グループだけが応募を決めた。残された工事期間を考えると日本国内のゼネコンですら一社単独では無理で、ましてや外国のゼネコン単独では資材・人員の調達がほぼ不可能だから当然の成り行きと言えよう。
ハディド氏の事務所は、外国のゼネコンならば安く出来ると主張していたが、結局は施工業者として名乗りを上げる国外のゼネコンを見つけられなかったようだ。日本で建設や資材や労働力を確保しそれを運用するのは、日本国内の下請け業者とのつながりや信頼関係がなければ不可能だからだ。
さらにまた完成後の建物本体だけでなく、施工中の足場などにも要求される日本の厳しい耐震・耐風および安全基準を満たすのは、過去に日本の都会地で大型の建物を建てた経験がなければ難しい。また、都心部の混雑する道路状況を把握して、大渋滞を引き起こさずに資材を供給するには、運搬車両の特別の運行管理技術が必要だ。そして、それらのために必要な付帯費用を正しく見積もるのも、実際に大都会の中心部で大型の建設工事を行った経験がなければ困難だ。恐らくハディド氏はその様な建物本体以外にかかる経費を、地震や台風が無いヨーロッパや中東なみにしか計算に入れていなかったのではないだろうか。
それはそれとして、今後の短期間でIOCや準備委員会の要求を満たす設計が可能なのか。これは大手ゼネコン連合をもってしても相当に苦しいと思われる。今回は一回で国民の理解を得なければならない。準備委員会のミスリードがあれば期間内に完成できるようなスケジュールを立てることも不可能になるだろう。森氏のような、名誉職だから詳細は俺の知ったことでは無いと言うような人物がトップにいては、どうなることやらと心配になる。
新国立競技場の建設は短期間の突貫工事になる。高い技能を待つ労働者を豊富に集められた高度敬愛成長期とは異なり、震災などの災害復興工事で腕の良い職人が不足している現在、職人を集められるかどうかがかぎになるだろう。
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