現代の民族大移動
イスラム圏の独裁国家で武装蜂起を含めた反政府活動が起きて次々と政権が崩壊したアラブの春。欧米諸国は反欧米政権が倒れ、西欧的な民主国家ができる事を期待してもてはやした。
しかしその後の様子を見ると、アラブの春以前よりも強硬な反西欧主義が台頭している。その結果、反西欧を標榜してはいても直接的な軍事的危険がほとんど無かった独裁政権時代よりも西欧にとっては危険度が増している。
延々と続く四分五裂した反政府勢力間の内戦で、多くの人々が生活の手段と場を失っている。そしてその多くが、安全に生きられる場所を求めて西欧に押し寄せている。
つまり西欧諸国が後押ししたアラブの春は、西欧諸国か期待したように安全を増すのでは無く、社会と国家の崩壊によって生活の場を失った中東からの民族移動によって以前より多くの混乱と危険をもたらしている。
私には現状が「ゲルマン民族の大移動」以来の民族大移動のように見える。かつては気候変動が民族移動の主要な原因だったが、今は政治と経済の混乱が民族移動を引き起こすのだ。
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