高齢者ビジネスに将来性はあるか?
今日は老人の日だ。現在のビジネス界では高齢者ビジネスが話題になっているが、その将来性はどうなのだろうか?
現状でも介護士に対する低賃金や過重労働の問題で、ついしばらく前にはメディアでもてはやされた介護職の人手不足が問題になっている。特に介護士の不足は労働条件の改善なしには解消できないが、これは費用の増加なしには不可能だ。その増加分を誰が負担するのか?誰も負担しないとすれば貧困高齢者の切り捨てを行わざるを得ない。それは現在福祉の世代格差を問題にし、介護の切り下げを求めている現役世代にも跳ね返る問題だ。今介護の切り下げを求めている若者の多くは、どちらかと言えば低所得者であり、彼ら自身が将来切り捨てられる高齢者になるのだ。
もう一つ高齢者ビジネスの将来性に関する不安要素がある。それは今から20年後には高齢者人口が急激に減少し始めると言うことだ。現在人口のピークは66~70歳にあるが、20年後にはその多くが現年齢での平均余命年齢を過ぎる。つまり今後は最も人口が多い世代が急激に減少し、20年後には半分になると言うことだ。これは需給バランスに大きな影響を与えるだろう。
将来のマーケット動向を熟慮せず、メディアが大げさに囃すままになだれ込んだものの、ピークがすぐに過ぎてしまい、あるいは経営コンサルタントの前提が誤っていたために失敗に終わったビジネスは幾つもある。医大ビジネスや法科大学院ビジネスがその代表例だ。同じことが高齢者ビジネスでも確実に起きるだろう。
今もてはやされているからと言って、安易に高齢者ビジネスに乗り出すのは考え物だ。20年後の市場縮小にどう対応するのかの見通しを立てたうえで参入すべきだ。
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