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July 01, 2015

鉄道車両の放火対策

昨日(2015/06/30)の新幹線放火事件で、様々な防止策の議論が始まった。

提案の一つは航空機並みの持ち込み手荷物検査を行えと言うものだが、これは鉄道の性格上適切ではないだろう。航空機並みに遅くとも30分前までにチェックインして手荷物検査を受けるのでは利便性が著しく失われるし、航空機とは比較にならない多人数の検査を行う為の施設と人出を用意するのではそのコストが膨大になる。結局運賃の大幅値上げをせざるを得なくなるだろう。これは安価で便利な移動手段を国民に提供するという鉄道の精神に反する。

そこで考えられるのは車両の側で対策を立てることだ。いくら何でも大型爆弾にまで対応するのは無理だが、放火による煙の対策ぐらいは出来そうだ。

昨日の放火犯はガソリン約10Lを撒いて火をつけたと推定されている。にもかかわらず車両は炎上せず、すぐに乗務員によって消し止められている。これは新幹線車両の防火性が優秀であることの証明だ。

日本の鉄道車両は、戦後間もない頃に起きて多数の焼死者を出した桜木町火災事故以後、不燃化を最重要課題の一つとしてきた。その結果現在の鉄道車両の内装はほぼ全てに不燃性材料あるいは自己消火性などの難燃材料が用いられていて炎上しにくくなっている。今回の事件でも報道の映像を見る限りでは、車体や内装に燃え移った形跡が全くないのはその努力の成果だろう。そして今後の検証でさらに改良の手がかりが得られるだろう。

ただ今回の事件で、これまでの火災対策には一つ見落としがあった事がはっきりした。それが煙対策だ。高速化による事故を防止するためと製造コスト低減のためさらには空調の発達によって、現在の車両の窓はほとんどがはめ殺しになっていて開放できない。このために車両内で大量の煙や有害ガスが発生した場合に、迅速に車外に排出する手段がない。この点が今後の車両改良の重要課題になるだろう。

どこかに排煙装置を設けて緊急時にそれを作動させる事になるだろうが、誤作動や乗客のいたずらなどによって新たな危険が生じないように工夫が必要だ。また、現在は乗客の通報に頼っているが、火災や煙の検知器の設置も検討すべきかもしれない。

排煙装置の構造とともに、走行状況や火の状態によっていつどのようにそれを作動させるかの研究ももちろん必要だ。使い方によっては火勢の拡大などの危険があるからだ。

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