フルハイビジョンテレビは消える?
新年度に入って家電量販店が張り切った広告を出している。それを見ていて思ったことがひとつ。
しばらく前から40型以下のテレビからフルハイビジョンがなくなり、1280×720のセミハイビジョンだけになっている。それがここへ来て50型以上はいわゆる4Kが主力になり始めている。つまりフルハイビジョンは40型から50型の間だけしか居場所がない。今後4Kの競争が激しくなれば4Kが40型までおりてくることも十分に予想される。
つまり、日本国内に限って言えばフルハイビジョンは消滅することになるかもしれない。
しかし目を国外に向ければ、ハイビジョンやフルハイビジョンもこれからと言う地域は多数ある。また、すでにハイビジョン化はされているが4K以上の計画は全くない地域も多いだろう。また、経済的理由から50型以上の大型テレビの普及が当分は望めない地域も多いはずだ。つまり世界の大半を占める途上国地域では当分4K以上の大型テレビは富裕層向けのごく限られた需要しか期待できない。
もし日本の電機メーカがフルハイビジョンを利潤が薄いと言う理由で捨て去れば、固定費負担の増加で製造コストがさらに増加して4K,8Kの競争力も失う事になるだろう。高コスト高価格の製品ばかり追い求める日本メーカーの習性を見ていると、そうなりそうに思えて仕方が無いのだ。
補足;
薄利多売、あるいは赤字だが販売量が多い製品を販売し続ける事は、損が膨らむので馬鹿げている様に見えいるが、工場の稼働率を高く保てるので結果として固定費が下がりコスト競争力を改善してくれる。もちろん赤字の度が過ぎてはいけないが、多少の赤字は製造販売数量が稼げるので企業全体の採算上は好ましいこともあるのだ。
しかし日本企業の多くは、株主に対するプレゼンテーションで格好良く見える高コスト高価格品を目指し、手間暇がかかり泥臭く格好良く見えない薄利多売品の製造コスト引き下げには真剣に取り組んでこなかった様に見える。
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