金融緩和追加決定
先に「出口に足をかけた米国、出口が見つからない日本」と書いたが、今日は日銀が金融緩和の追加を決定したと報じられている。この決定で日本経済は出口を見つけられずに闇の中をさ迷っているという感がますます強くなる。
この夏以来、日銀と安倍政権は景気が回復しつつあると強調してきた。しかし、ここでの追加緩和決定はそれが事実ではなかったと認めるに等しい。
にもかかわらずこのタイミングで追加緩和を決めたと言うことは、消費税増税の最後のチャンスと考えたからだろう。消費税増税決定を繰り延べてきたが、この年末がタイムリミットだ。増税決定には少しでも景気回復の事実を示さねばならないが、そのための最後の賭に出たと言うことだろう。増税ができなければ、アベノミクスが成果を上げていない事を公式に認めるのも同じで、安倍政権は深刻な事態に陥るからだ。
追加緩和を受けて投機市場は高騰しているが、製造業が中心の実体消費はむしろ冷え込むだろう。実体経済に回復の兆しがないことを認めたも同然だからだ。
今までの長期間かつ大量の金融緩和で供給された資金の大半は投機市場に流れ込み、投機に参加できる富裕層の懐を豊かにしてきた。その結果高額票品の売り上げは増加したが、消費の大きな部分を占める一般労働者の消費は伸びなかった。実質賃金が増加せず、むしろ減少したからだ。これが偽りの景気回復の実態だ。
安倍政権周辺は金融経済を重視する者たちで占められているようだが、彼らはこの20年近く失敗し続けている。今求められているのは、直接的に実質賃金を上昇させる知恵を持つ者たちだ。そのためには新しい経済モデルが必要なのかもしれない。
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