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April 08, 2014

STAP疑惑とその余波

小保方氏のファンが理研に的外れな非難を浴びせ続けているようだが、今回の騒動について私なりに整理してみた。

まず疑惑の本体である、報文に掲げられた写真が今回の研究のものではない、また、加工されたものであると言う疑いについてだが、これは本人も認めている。ただ本人は、「悪意がない、見栄えを良くしただけだ」と主張しているが、報文でそのような事をしてはならない事は研究者の常識だ。(ただし、素人向けのプレゼンテーションでは、理解を助けるための多少の「お化粧」は本質をゆがめない範囲で許される。)従って、悪意がなかったとしても研究者の倫理に反するものとして非難されても仕方がない。また、今後小保方氏の研究者としての信用が大きく傷ついた事も否定できない。

次にSTAP細胞が実在するかどうかについてだが、これについては小保方氏が本人の実験記録で証明できなかったので存在しない可能性が増している。ただし、完全に否定する根拠も今はない。小保方氏がSTAP現象を見た事が事実であるとしても、それが実はSTAP細胞ではなかった、あるいは小保方氏が見落として報文に記載しなかった重要な要因が有り、それが未知のままになっている、などが考えられる。後者の場合、STAP細胞発見の栄誉は、その未知の要因を発見した者に帰することになり、その現象にはまた別の名がつけられるだろう。

第三者による再現ができていない現状では、小保方氏がSTAP細胞を見た事を実証するためには、実験記録を見直して、見落とした要因がないかどうかを徹底的に洗い直す必要がある。しかし、実験記録が極めてずさんだと報じられているのでそれが難しいかもしれない。そうなると、小保方氏はできる限りの記憶を掘り起こして、実験操作の詳細と見落とした可能性のある要因を公表して検証を求めることが必要だろう。

ただ、そのような検証には長い時間と多額の費用がかかる(*)ので、現状で喜んでそれを行おうとする研究者は少ないだろう。見落とされた要因を発見して、名誉を自分のものにする可能性があるとしてもだ。最大の障害になるのは研究費で、それはすでに得ている研究費は支出目的が決まっているからだ。研究者が自由に支出できる研究費は通常ごくわずかしかないので、それだけで検証研究の費用をまかなうのは無理だろう。また、理研は、自分の信用がかかっているだけにせざるを得ないが、STAP細胞の検証のために新たに多額の研究予算の計上を承認する研究機関は他にはほとんどないだろう。

ところで、STAP疑惑は思いもかけないところに飛び火しているようだ。小保方氏が博士号を得た早稲田大学大学院の研究科で、学位論文に他人の研究報告が盗用されているという指摘が相次いでいるのだ。日本の私大理工学系のトップである早稲田大学理工学部と大学院研究科の信用と権威に関わることだけに、当該研究科の学位論文の全てを調査するという騒ぎになってしまった。指摘が事実であれば、信用回復のために当該研究科で論文審査に当たった教授や指導教官たちに対する処分もあり得るだろう。

(*)研究室の運用に必要な用役費や間接費、実験補助者1~2名の労務費、薬品・消耗品代(小保方論文によればさほどかからないだろうが)、実験動物代そして実験を指導監督する研究者本人の費用などを合わせると、毎月百万円を下ることはないだろう。そして検証実験の間は、研究者は自分本来の研究がほとんどできない。現状では検証に取り組もうとする研究者が出てこなくても致し方がない。

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