サプリメントの不適切宣伝
サプリメントの宣伝には不適切な表現や表示が多い。某大手飲料品メーカー子会社が行っているEPAとDHAサプリメントを例に挙げてみよう。
この会社の宣伝では厚労省がEPAとDHAを合計で1g/日以上摂るよう進めているとしている。そしてそれを食品で摂取するには、クロマグロの刺身を例にすると9人前が必要だとし、摂取が困難だからサプリメントで獲るべきと主張している。
しかしこの宣伝の表現は適切とは言い難い。そもそもクロマグロの赤身は油脂分が少ない方の代表だからだ。これは食品成分表を調べてみれば確認できる。
食品成分表から計算すると、クロマグロの赤身にはEPAとDHAが合計で100gあたり0.14g含まれている。刺身一人前は約100gだそうだから1.0g÷0.14g=7.1つまり約7人前必要と言うことになる。これに対して多い方の代表であるクロマグロのトロではEPAとDHAが合計で100gあたり4.6g含まれている。つまりトロにはEPAとDHAの合計量が赤身の32.8倍含まれている事になる。これは人数前で計算すると約0.2人前、切り身で約2切れに相当する。
トロ2切れでは宣伝にならないから、わざわざ含有量が少ない方の代表の赤身を持ち出してミスリードしようとしているわけだが、このような例は他にもアミノ酸サプリメントで比較相手にわざわざアミノ酸を少なく作る食酢を持ち出すなど数多く見られる。
健康食品は宣伝に対する規制が甘いので不適切な表現がまかり通る。サプリメントの宣伝はこのように不適切なものが多いので、鵜呑みにしたり知ったかぶりをして恥をかかないように。
追記(2014/04/30);
参考に他の魚の例をあげておく(いずれも食品成分表からの計算値)。
まさば(焼き切り身一切れ、約100g) 約1.7g(全部位の平均値)
まいわし(焼き一尾、約80g) 約1.6g
さんま(焼き一尾、約150g) 約1.5g
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