デッドマンスイッチ;バス暴走防止装置
頻発する長距離バス暴走事故について、運転手の健康状態が原因だとして運行会社に対して管理強化を求める声が大きい。これはこれなりに意味はあるとは思うが、低料金を求める客の要求に応えるため、運転手の賃金を切り詰めなければならない運行会社、低賃金のために少しでも多く働きたい運転手の双方の理由から、多少の改善という以上の事は難しいだろう。
運行管理だけでは不十分であれば、運転手が運転不能になったときにバスを停止させるハードウエアを考えるべきだ。その目的のためには、古くからデッドマンスイッチというものがある。これは運転者や操作手が急死したり意識を失ったりして運転や操作ができなくなった場合に、装置や機器を自動的に停止させるものだ。
身近な例では、確か電車の運転席には備えられていたはずだ。これはペダル型もしくはボタン型のスイッチで、運転中はこの上に足を乗せて押さえておかなければならない(追記2参照)。運転士が運転できない状態になって足が外れると、自動的にブレーキがかかって電車は停止する。これによって、運転手が運転不能になっても電車は暴走しない仕掛けになっている。
電車の場合には警笛を鳴らす足スイッチがあるが、もう一方の足はあいているのでデッドマンスイッチを押さえておくために使える。しかし自動車の場合はどうだろう。マニュアルミッションの場合には運転に両足を使う。だが、オートマッチックミッションであれば、原則として左足は使わない(左足ブレーキの人もいるが)ので、左足でデッドマンスイッチを踏むのは可能だろう。
頻発するバス暴走事故対策として、営業用大型バスはすべてオートマチックミッションにして、デッドマンスイッチの装備を義務づけるのは不可能ではないと思うのだがどうだろう。これは大型トラックやトレーラーにも有効で、将来はすべての自動車に備えるとさらによい。
追記(2014/03/06);
マニュアルミッション車でも、スポーツカーのフットレストの様な形で、クラッチの横にスイッチをもうける事はできそうだ。これなら既存のマニュアルミッション車にも取り付けられる。ギアチェンジの間、足をクラッチペダルに移してもスイッチが作動しないように遅延動作式にして、足を戻せばリセットされるようにすればよい。遅延動作は、オートマチック車でも運転手が疲れた足を移動させるため、短時間足を離しても作動しない点で運転士の負担を減らすだろう。
また、運転手が硬直性の発作を起こして足を突っ張ってしまっているような場合には、横から身を乗り出せば届く位置に手動式の緊急停止スイッチをもうけるとよいだろう。うっかり触れたり乗客がいたずらしても作動しないよう、一定時間押し続けると作動する押しボタンスイッチや、プラグを引き抜いて一定時間のうちに戻さなければ作動するスイッチなどが考えられる。
追記(2014/03/06)2;
私が子供の頃の電車の運転席には、コントローラーの下にペダルがあったような気がするのだが、最近の電車では見た覚えがない。調べてみると、今はコントローラーハンドルが一本のT字型レバーになっていて、これを両手で握っていないと走行できない仕掛けになっているようだ。つまり、運転手に異常が発生して手がレバーから離れるとブレーキがかかる形式のデッドマンスイッチになっている。
そういえば、一昔前のハンドルを回す形式のコントローラーでも握りの部分が2段になっていた。握りを上から押さえる形のデッドマンスイッチだったのかもしれない。
始終持ち替える自動車のハンドルで、この方式のデッドマンスイッチを実現するのは面倒そうだ。ハンドルを2重にして、握っていなければブレーキがかかる様な形式は可能だが手が疲れるという苦情が出るかもしれない。やはり自動車にはフットペダル(フットスイッチ)式の方が良さそうに思うがどうだろうか。
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