風力発電が気候を変える?
最近、風力発電用の風車が多数設置された強風地域で、平均風速が低下して風害の減少が期待されていると言う報道がいくつかあった。
風害の減少自体は好ましいことだが、大規模な風車群が多数建設されると気象や気候に影響する可能性がないとはいえない。これが少々心配だ。
なぜならば、風は地球全体の気候を穏やかにする役目を担っているからだ。高緯度地方から吹く風は冷熱を、低緯度地方から吹く風は温熱をそれぞれ中緯度地方に運び、混合することで高緯度地方の寒さと低緯度地方の暑さをともに緩和している。大規模な風車群が局部的とはいえ風の状態を変えると、これが全体に影響して地球全体の熱移動のパターンを変化させるかもしれない。
気象はカオティックな現象であり、全く同じことは繰り返さない。また、小さな差異が時間とともに拡大し大きな差になることもある。それを表現する「バタフライ効果」などと言うジョークがあるぐらいだ。だから、今日建設された大規模風車群が数十年後に猛烈な熱帯性や温帯性暴風を多発させたり、千年後に氷河期をもたらしたりしない保証はない。
現時点でそのようなシミュレーションは行われていないが、総発電量がGwHクラスの大風車群があちこちに建設されるようになるとどうなるか、人類がこれまでに繰り返してきた予測不十分による「想定外」の災害を防ぐためにも、十分な研究を行って気象や気候への影響が少ない建設の仕方(風車群の建設地の決定方法など)を明らかにしてほしい。
追記;
気象現象のカオス性から言えば、大都市化とそこでのエネルギー大量消費が気候に影響を与えている可能性も研究する必要があるだろう。大都市というホットスポットの出現が、地球の熱循環を変化させている可能性も完全には否定できないからだ。
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