希少糖;新ダイエット食品
NHKの「サイエンスゼロ」で、「希少糖」なる物を紹介していた。
「希少糖」とは化学構造上「糖類」に分類されるが、生物が利用しないため自然にはほとんど、あるいは全く存在しない物を言うのだそうだ。その中には、グルコース(ブドウ糖)の吸収を妨害するため新規なダイエット食品として期待されている物もあるという。
今回紹介されていたものは「プシコース」という6炭糖化合物で、グルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)の異性体になるようだ。これは食品として十分な甘みがあり、腸でのグルコースの吸収を阻害するため甘味料として使うと血糖値の上昇を抑える効果があるそうだ。ただ、現時点では非常に高価なため安価な製造法を研究中だとのこと。
ただ、一つ気にかかることがある。それは、「プシコース」の水溶液を散布すると植物の発芽を阻害する効果があると言う点だ。これは除草剤の可能性もあるとして紹介されていたのだが、プシコースが生物分解されにくいことを考えると少々気にかかる。生物分解されにくいと言うことは環境に蓄積しやすいと言うことを意味し、それが生態系に悪影響を与える可能性があるからだ。この点についても、環境ホルモンの二の舞にならぬよう実用化前に詳細に検討してもらう必要がある。
補足1;
糖類とは炭水化物(炭素と水の化合物)の別名があるように、化学式 (CH2O)n または(CnH2nOn)で表される化合物(n=2~10)の総称だ。n=1のものは「ホルムアルデヒド」で糖類には含まない。自然界に産する物の多くはn=5または6で、n=5の物を「ペントース」類、n=6の物を「ヘキソース」類と呼ぶ。またnが同じでも、立体異性体や光学異性体が多数ありそれぞれ区別される。
さらに、糖のユニットが一つだけの物を単糖類と言い、代表的な物は「グルコース(ブドウ糖)」。複数ある物を多糖類といい、代表的な物は「デンプン(澱粉)」や「セルロース(繊維素)」。また、ユニットの数が少ない物(n=2~4)を「オリゴ糖」と呼び、代表的な物は「ショ糖(砂糖)」や「麦芽糖」。ただし、食品添加物としての「オリゴ糖」はn=3~10のものを指すようだ。
水素の一つが他の原子団で置換された物もあり、やはり糖類に含まれる。「アミノ基」で置換された物が「アミノ糖」で、「キチン」の主成分である「グルコサミン(グルコース+アミン)」や軟骨に含まれる「コンドロイチン硫酸」の成分である「ガラクトサミン(ガラクトース+アミン)」が代表的な物。
補足2;
生物が利用しないと言うことは、それを効率良く生産する生物がいないという事でもある。グルコースなどからプシッコースに異性化する酵素も存在しないだろう。製造コストが高くなるのも当然だ。効率よく生産するには、遺伝子操作による微生物改変が必要かもしれない。
« NHK教育テレビで?!;南樺太と全千島の返還を主張? | Main | 3,4とばしで8?;テレビの将来 »
Comments