北朝鮮ミサイル;次の発射が東向きである理由
北朝鮮が次のミサイル発射準備を東海岸で進めていると報道されている。中長距離ミサイルを東に向けて発射すれば当然本州上空を通過することになるので、これが日本に対する威嚇であると主張する政府の意向に沿って、危機感を煽る報道が過熱しているようだ。
もっとも、発射する方向は東しかないことは少し考えてみれば簡単に分かる。まだ若い金正恩政権の権威を示す為、何とか米国から譲歩を引き出したい北朝鮮だが、これまでの経過は思わしくない。対イスラム戦争で余力が無かった前政権とは異なり、現政権はほとんど譲歩しなかったからだ。
しかし、今更米国の譲歩を得られないまま引き下がれば、金正恩氏と対米強硬発言を進めた政権内勢力の体面は丸つぶれになる。だから強硬発言をエスカレートさせるしか今の北朝鮮には道がない。それほど追い込まれているのだ。
だから、今回のミサイル発射も「やるぞ!やるぞ!」とさわいで見せていると思われる。今後韓米が譲歩するとは考えられないので、しばらく引き延ばした後に発射に追い込まれるだろう。
その場合、些細なミスで先制攻撃と見なされる可能性がある南に発射することはあり得ない。実際の戦争になれば、北朝鮮に勝ち目がないことは彼らも分かっているからだ。中国が参戦する見通しなしに、北朝鮮側から全面戦争のきっかけになる様なことをする可能性は少ないからだ。
そこで安全な方向はと言えば、これは東しかない。中国やロシアに落下させるわけにはいかないので、西や北は論外だからだ。東であれば手違いがあっても自爆させる時間的な余裕があるし、万が一日本に被害が出ても即時開戦と言うことにはならない。日本は韓米が攻撃された場合に即時反撃する対象地域ではないからだ。
と言うわけで、北朝鮮にとって発射可能な方向は東しかない。またこれは、敗戦後半世紀以上の実績から脅せばすぐに譲歩する(*)と見られている日本人を利用して、米国から譲歩を得ると言うごくわずかな可能性も期待しているだろう。
(*)人質事件などで、日本人の生命の安全が最優先として、当事国に譲歩を求めよという報道ぶりから明らかだ。
攻撃圏内にある日本の地名を例示したようだが、それについて日本のメディアが大騒ぎして日本人の恐怖を煽る事を期待しているのかもしれない。それによって日本人が米国に譲歩を迫る可能性があると見ているのだろう。米国が日本の譲歩要求に応えるとは思えないが。
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