メイドインジャパンが世界で負けた理由
かつて先進国市場を席巻した「メイド・イン・ジャパン」が世界市場で負け続けている。その理由は何か?それは日本人の思い上がりが原因となっているように見える。
かつて日本製品が先進国市場を席巻した時代、それは日本製品が「安かろう。悪かろう」から脱して「安くて良い」製品を供給し始めた時代だ。しかし、日本人が自信をつけるにつれ、日本製品は「安くて良い」から「高いが良い」に変化していった。そして、さらに「日本人好みの品質は世界のどこにでも通用する最高級品」という考えに変化していった。これが恐らく凋落の始まりだろう。
かつて日本人が「欧米先進国」を追い上げた様に、後発国の追い上げが始まると日本人はこれらの国の製品を「安かろう悪かろう」だと侮り、品質特に信頼性は急速に改善されると言うことに考え及ばなかった。これはかつて欧米人が日本製品を侮り敗北したのと全く同じ経過だ。
さらに、欧米企業は日本製品に対抗する為、大型化・豪華化に走り、主要な製品、つまり普及品価格帯での競争を放棄し、生産数量の減少でコスト競争力を失った。日本もこれと全く同じ事を行ったのだ。日本企業も高機能、高級化、大型化などによって差別化を行い、高く売れる製品を中心に据えたのだ。こうして普及品を放棄したことにより生産数量が減り、さらにコストが上昇したことが高級品分野でも価格競争に勝てなくなる原因になった。その結果、日本企業はさらに高機能化による高価格化を追求し、それは日本製品を一般人が必要としないマニア好みの特殊化した製品に変質させ、需要の大半を占める普及品の分野から遠ざけていった。
こうしていまや「日本品質」とは、不可欠ではないマニア向け遊び機能が多数付いた、無駄に高い製品の代名詞となっている。農産物についても高級化・ブランド化を追い求める事が流行している。この方向を追い続ける限り日本製品の世界市場での衰退は続くだろう。
かつて日本製品が誇った「安くて高品質」はいまや、不可欠機能と信頼性をしっかり押さえた韓国や中国の大手企業の製品の物となっている。日本企業が、「高機能≠高品質」であることに目覚めない限りは戦えるはずがない。
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