黄砂襲来
今日(2013/03/09)は黄砂情報が出ている。今年初めての情報だが、おかげで中国製公害粒子の観測が困難になりそうだ。
というのは、現在公害粒子のリアルタイム測定に用いられているであろうレーザー光散乱式の微粒子測定装置(パーティクルカウンター)では、黄砂の成分である硅酸質の粒子と、燃焼によって生じる炭素質の公害粒子との区別が付かないからだ。その結果、報道されている情報は黄砂粒子と公害粒子の両方の合計となっているようだ。(もっとも、PM2.5自体が単に空気中に含まれる微粒子の量を表しているだけで、どのような由来の粒子であるかは区別していないようだ。)
粒子を捕集して化学分析や蛍光X線分析などを行えば、およその比率を求めることは可能だがリアルタイムの計測とはいかない。分析できるだけの粒子を集めるのに長時間が必要で、分析も前処理を含めて数時間を要するからだ。従って、黄砂の季節が終わるまでは過大評価された数字の報道が続くのだろう。
追記(2013/03/09);
定義では、PM2.5は直径2.5μmの粒子を50%捕集するフィルターを通過する粒子の重量となっている。従って上記のフィルターを通過した粒子をさらに目の細かいフィルターで捕集してその重量を測定することになる。しかし、捕集率はフィルターの面積あたりを通過する空気の流量(流速)が増加すると低下する。また、捕集した重量を精度良く測定する為には大量の空気を濾過しなければならない。
このような理由で、定義通りに測定を行えば数時間単位の遅れが出る。このため、リアルタイム測定にはレーザー光散乱式の微粒子測定措置が用いられていると推定している。
クリーンルームで粉じん監視に用いられるレーザー光散乱式微粒子測定装置は、0.05μm以上の粒子数を粒径別に集計する機能を持つ。これに平均密度を掛ければ簡単に粒子重量の概数を求めることが可能だからだ。
« 消えた「インフレ目標」 | Main | おちゃらけに聞こえた反原発デモのシュプレヒコール »
Comments