4Kテレビ2014放送開始
家電メーカーがHDテレビの4倍の画素数を持つ通称4Kテレビの商品開発競争を繰り広げていると言われている。これまではHD画像を解像度変換して4Kテレビで見ることが宣伝されていたが、来年からCSで4Kテレビ番組の試験放送が始まると報じられている。これにより4K普及が始まるとの期待があるようだが、そううまく行くかどうかなかなか難しそうだ。
その理由はHDテレビですらなかなか普及が進ま無かったことだ。HD放送は10年以上前からBSで行われていたが受信装置の普及はなかなか進まなかった。それが急速に普及したのは、地上波のアナログ放送が終了する直前だった。視聴者が否応なしに買い換えざるを得なくなった、言い換えれば強制的に買い換えさせる状況ができるまでは普及が進まなかったのだ。
このような過去の事例を見ると、4Kテレビも3Dテレビと同じ様な惨めな失敗になりかねない。2K(HD)ですら当初は全く売れなかった事を踏まえれば、4Kの普及もHD放送終了という強制的切り替えの状況を作らなければ難しいだろう。
そもそも、4Kの高解像度を生かしてHDと差別化するには、80型や90型と言った大画面が必要だろう。そんな大画面テレビの置き場所を、どうやって日本の住宅に確保するかという事から始めなければならない。壁に取り付けるというのが解の一つだろうが、ガラス基板を使用する液晶テレビでそんなサイズのものは、新建材の壁板には重すぎる可能性がある。だとすれば大幅な軽量化も必要だろう。さらに軽量で放熱も容易な新型テレビが液晶に取って代わるかもしれない。
一方でこれは、脱原発で消費電力低減が叫ばれる中で、家電メーカーはまた家庭での消費電力を増やす方向で製品開発を行うと言う事も意味している。80型や90型の大型テレビで、今の主力である40型前後のものより消費電力の少ない物を作ってもらいたい物だ。家電メーカは冷蔵庫と同様に、同じサイズの旧型機に較べて省電力だとだけ宣伝し、それまで使っていた小型の物に較べて大幅に消費電力が増えることには知らぬ振りを決め込むのだろうと予想できるが。
追記(2013/02/02)
どちらにしても、3Dも4Kもシーズ先行型(あるいはプロダクトアウト型)商品開発の典型例だ。
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