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October 22, 2012

予測と予想、そして予知

地震学会が「地震予知」の看板を下ろしたそうだ。過去再現性のある地震予知に成功した例が無く、現状では地震の「予知」は不可能と考えられているだけに当然と言えるかもしれない。

これまでにも、何十年以内に大地震があるという「予測」は世界中で数え切れないほど出されてきた。例えば、関東大震災60年周期説に基づき1970年代後半から次の大地震が近い、30年以内に確実に発生すると主張する研究者が多数いた。しかし、関東大震災から90年になろうとする今も大地震は起きていない。もっともこれは大地震が起きないと言う意味ではない。いつ頃までに何%の確率で起きるという、一見科学的に見える「予測」が当てにならないと言うことだ。いつかまた大地震が起きるだろうという「予想」は誰にでもできるが、期間と確率を指定しての「予測」はできないと言う理解でも良い。

なぜ「予測」ができないのか?それは何が地震の規模を決定するかというメカニズムが解明されていないからだ。そのため、研究者は様々な仮説を立て、それが過去の地震発生に当てはまるかどうかを調べる。当てはまるかどうかは平均発生間隔がよく用いられるがこれが問題なのだ。

通常、平均間隔は過去の記録や考古学的な痕跡などから発生年度を推定して求める。しかし、数百年に一度、あるいは数千年に一度というような大地震に関しては、数が少なすぎて統計的に信頼できる平均値が得られない。別の言い方をすると、統計的に平均値が有ると推定できる範囲は計算上決められるが、「予測」の根拠として使うには範囲が広すぎるのだ。

そこで一般的に用いられるのは、研究者が立てた地震発生メカニズムの仮説に基づきコンピュータ計算用のモデルを作り、発生周期が単純平均とばらつきにあうようにパラメーターを調節することだ。このやり方では、発生周期やばらつきがあうモデルとパラメーターの組み合わせはいくつも存在する。

このため、科学的理論に基づくコンピュータ計算による予測の信頼度は低い。

従って、毎日新聞が述べているように、現時点では信頼性のある「予測」すらできないのだ。

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